杉並区の休日・夜間診療体制について(河北総合病院小児科の365日24時間診療中止に際して)

 河北総合病院(阿佐谷北)の小児科が365日24時間診療を3月末で中止することが2月26日に公表され、「夜間にこどもが発熱した場合に、杉並区民は行き場を失う」という心配をされている方が一部いらっしゃるようですので、努めて正確な情報をお伝えいたします。
 正確に書くとホームページと同じ長文の記載になるので、細かい時間などの記載は省きます。詳しい情報は区ホームページ に掲載されていますので、不明点についてはまずこちらをご参照ください。

1.4月1日以降の夜間・休日診療の実施状況について

 365日24時間診療:杏林大学医学部付属杉並病院(現・立正佼成会附属佼成病院)
 平日夜間:杉並区休日等夜間急病診療所(杉並保健所内)、東京衛生アドベンチスト病院
 休日:杉並区休日等夜間急病診療所(杉並保健所内)、東京衛生アドベンチスト病院、医師会登録医療機関が4院前後輪番制で診察

2.休日・夜間の受診の前に必ずお願いしたいこと

 私も幼児を育てているので、夜間や週末に40℃の熱が出た!という時に慌ててしまい、何がなんでも医師に見てほしいという気持ちはよくわかります。が、事実として、休日・夜間診療に訪れた患者さんと救急搬送された患者さんを合計して、診察後入院に至るのは1割程度です。発熱時はご自宅にある解熱剤等で症状を緩和し、平日に受診することが多くの場合適切な対応になります。解熱剤は風邪症状で受診した際に念のため処方されることが多く、数日分はお手元にお持ちかと思います。

 もちろん、夜間や週末でも病院に行かなくてはならない場面はあると思います。そのあたりの受診判断は、杉並区急病医療情報センター(#7399/03-5347-2252)東京消防庁救急相談センター(#7119/03-3212-2323)に判断を仰ぐことを強くおすすめします。親の目で見て明らかにおかしい、と狼狽する気持ちもわかっていますが、私自身の体験として、専門家に状況を聞いてもらって助言を受けることで自分自身がかなり冷静さを取り戻します。

3.命の危険を感じるような場合には 119番して下さい

 河北総合病院の夜間休日診療中止とは関係なく、救急医療は継続されます。杉並区が含まれる東京都区西部医療圏には、新宿区の東京女子医大病院や東京医大病院、慶應大学病院、中野区の総合東京病院や東京警察病院などの総合病院があり、西部医療圏外にも三鷹市の杏林大学病院や順天堂練馬病院があるなど、高度急性期・急性期の病床が中域的に豊富な地域であることは変わりません。(参考:byosho.metro.tokyo.lg.jp/2022/1304.html)

4.その他

 新型コロナウイルス感染症を契機として、遠隔診療(オンライン診療など)が広がりを見せてきています。テレビ電話で診察してもらって、処方薬が郵送で届き(すぐに欲しい時は薬局での受け取りも可能)、必要に応じて往診もできるそうです。こういった民間事業者が提供する遠隔診療のサービスが自治体の休日・夜間診療を代替するケースが出てきており、私自身過去に杉並区の休日・夜間診療を遠隔医療に置き換えることを議会で提案したことがありました。杉並区は医師会と協業した休日・夜間診療を継続していますが、遠隔医療のサービスを活用している区民は増えていると感じており、私もその一人です。

 今回の河北総合病院365日24時間診療中止が示しているように、医療体制の持続可能性は曲がり角を迎えています。こどもの医療費が無償化されていることも一つの要因となって、安心を求めるための医療行為の要求は過剰なものになりやすい性質を持っていることを、平常時に私たち一人ひとりが認識し、適切な手順を確認した上で、緊急時に備えていきたいですね。