区議会レポートVol.13
令和4年第2回定例会での、松本みつひろの質問とそれに対する区の答弁を、レポートにまとめました。
2022年2月からの、ロシアによるウクライナ侵略を受けて、国防・安全に対する危機感を多くの区民からお話いただいてまいりました。この分野において、杉並区でできることは限られているのですが、ちょうど計画の改定時期が近づいてきていることもあり、新たな課題や問題意識について、いただいたお声をまとめ、網羅的に指摘することができたかと思います。
その他、学校のいじめについて、遠隔医療について質問しました。また、特別委員会で初の委員長を務めたことなども紹介させていただきました。
受け取っていただける方、お問合せフォームからご連絡いただけますと幸いです。現在参議院議員選挙中のため、7月11日以降に個別にお届けします。
令和4年第2回定例会 松本みつひろ区議会レポート B3両面
■一般質問(5月23日)
テーマ:いじめについて
この質問に至った背景:学校という部分社会における人権侵害である「いじめ」の問題については、昨年の決算審査の中で町田市の小学校6年生女子の自死事件を取り上げるなど、これまでも関心を寄せてきました。いじめをなくすことは難しい、不可能だという言説を目にすることもありますし、安易にいじめゼロを目指すといじめ行為が地下化し、当事者にとって一層苦しい状況になることへの懸念も持っています。そういった中、大阪府寝屋川市が行った新しい役割分担に基づく対応によって、全件について1ヶ月以内にいじめ行為を停止、いじめの終結を確認できていることを知りました。仕組みの改革でいじめ問題の改善が実現できる手ごたえを胸に質問に臨みました。
■いじめを発見した場合の対応 の図を挿入(色や構成等、整えていただけると助かります)
質問:いじめに対して教育現場と区長部局が役割分担をする体制について、区と区教委それぞれの見解を求める。いじめの問題を区長部局と役割分担して取り組むことは行政の教育介入*にあたると考えるか、区教委の見解を伺う。
教育政策担当部長:いじめの未然防止や早期発見など、いじめ対応の中心となるのは学校だが、教育委員会もいじめ問題対策委員会などで具体的な対策について調査・審議を行っている。区長部局では青少年問題協議会を開催し、定期的にいじめ防止等に関する取組を協議しているほか、子どもと家庭の総合相談窓口「ゆうライン」で子どもや保護者から相談を受け、必要に応じて学校と連携して解決に向けた措置を講じるなどの対応をしている。役割分担は杉並区いじめ防止対策推進基本方針に掲げているものであり、行政の教育介入にはあたらない。
再質問:区長部局の見解は。
総務部長:現時点でもいじめの対応・協議を行っている。今後とも区としても主体的に教育委員会と連携し、必要があれば総合教育会議などの場をさらに利用し、一緒にタッグを組んでしっかり向き合っていきたい。
キャラクター吹き出し:いじめの問題を教育現場内で完結させず、区として向き合うという答弁でよかったです。杉並区教委もいじめ対策に力を入れてはきましたが、寝屋川市のような体制を構築するところまで進めていけるか、区の本気度を引き続き問うてまいります。
*戦前に教育内容が政治の介入によって大きく歪められたことの反省として、教育基本法第10条において、「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである。」とされており、教育の内容は教育行政の専権とされています
一般質問の翌週、6月1日の文教委員会でいじめの現状について報告がありました。9.4%のいじめは解消にいたっていません
質問:「杉並区のいじめ対策」では「自ら」SOSを出す力を高めることを掲げているが、具体的な取組は。
教育政策担当部長:映像教材等を用いて指導している。また今年度から「いじめ電話相談」を開設、また1人1台専用タブレット端末に東京都教育相談アプリを導入し、児童・生徒が自らSOSを発信できる環境を整えている。
質問:友達など周囲からの通報によっていじめの早期発見に努める上で、ICTを活用した心理的障壁の低い相談・通報や、児童生徒の状況把握アンケート等の仕組みを構築しては。
教育政策担当部長:いじめの早期発見のためのアンケート等の取組の中で、周囲からの情報収集を行っている。アンケートのデジタル化については今後検討していく。
■一般質問(いじめ)の写真を挿入
テーマ:防災について(杉並区 業務継続計画 国民保護計画)
この質問に至った背景:今年はここまで、地震発生が多い年となっています。5月21日までの集計で、国内では震度3以上の地震が84回観測されており、そのうち杉並区で観測された場合には災害即応体制を敷くことになる、震度5弱以上を観測したものが6回を数えています。業務継続計画を策定してから3年が経過するなど、計画の見直し時期が到来していると考え、先んじて必要となる見直しのポイントを提案しました。
質問:今年1月に発動したBCP(業務継続計画)を停止する時期とその条件をどのように考えているか。
危機管理室長:オミクロン株による感染者の急増に備え先手を打って発動した。一時期に比べれば減少したが、現在も感染者数が高水準で推移しており、引き続き保健所への応援体制を確保する必要があるため継続。停止の時期は今後の感染者数の推移やそれに伴う国、東京都の動向を踏まえて見極める。
質問日の5月23日に持ち回り開催されたコロナ対策本部会議で、BCPの停止が決定しました
質問:次回の杉並区業務継続計画(震災編)改定の際、オンライン会議の活用を盛り込むことについて見解を伺う。発災時にオンライン会議を活用するためには、平時の機器配備やBYOD*への対応にも意を用いる必要があるが、区の検討状況は。
危機管理室長:発災時には家族の被災や交通機関等の寸断等により、職員が参集できない場合も想定されるため、オンライン会議は有効な手段。平時からの機器配備は現実的ではないため、災害時の個人端末の使用もあわせて、次期計画改定時に検討していく。
*個人で所有している私物の端末を業務に使用すること。Bring Your Own Device
民間企業のBYODも、最初は災害対策の文脈で始まったと記憶しています。災害対策だけでなく、生産性の高い働き方へとつなげていきます
質問:杉並区業務継続計画(震災編)の改定の目途を伺う。
危機管理室長:今後、都の新たな被害想定の公表*や、東京都地域防災計画の修正を踏まえ、区の地域防災計画を修整する必要が生じるので、その際に業務継続計画の改定の必要性についても考える。
*質問の2日後、5月25日に公表。東京都地域防災計画の修正にも着手した
質問:警報の内容の伝達方法として、防災無線を使用するが、注意喚起が必要十分になされるかについて区の見解を伺う。また他の伝達手段をどのように整備しているか。
危機管理室長:国からの緊急情報は、区の防災無線を活用した全国瞬時警報システム(J・アラート)によって区民に直接伝達される。全国一斉情報伝達試験を年4回行っており、区民への一定程度の注意喚起がなされていると捉えている。他の伝達手段として、緊急地震速報と同様、スマートフォン等に緊急速報メールが配信される仕組みが整備されている。
質問:杉並区国民保護計画の改定の目途を伺う。
危機管理室長:前回の改定から6年が経過しており、令和3年度に修正した地域防災計画等の内容と整合を図る必要もある。今年度から避難実施要領の検証や計画の時点修正などの検討に着手する。
テーマ:遠隔医療について
この質問に至った背景:新型コロナウイルス感染症の流行によって注目されたサービスの一つである遠隔医療について、乳幼児の育児のパートナーとして私自身もこれまで活用してきました。横浜市が行った、産婦人科オンライン・小児科オンラインの遠隔健康医療相談や医療・健康情報の提供事業が、東京大学の研究チームから学術的評価を受け、妊娠中からオンラインによる遠隔健康医療相談を提供されたグループでは、産後うつ病高リスク者の割合が相対的に33.5%低かったことが示されたという報道を目にし、活用を推進したいと考え提案しました。
質問:区の休日等夜間急病診療所における、オンライン診療の導入の検討状況を伺う。
保健所長:区の急病診療所は医師会への委託事業であり、日替わりで医師会会員が輪番で従事している。このため従事者のIT対応スキルが均一ではなく、直ちに導入することは困難。今後医師会と協議の上、導入する場合の課題などを整理していく。
質問:24時間365日の医療体制を構築するために、民間事業者と連携を進めることを提案するが、区の見解は。
保健所長:独自に導入している自治体もあるが、区においては東京都が新型コロナ対策として民間事業者等と実施している「地域における自宅療養者等に対する医療支援強化事業」を活用し、医療を要する区内の自宅療養者に訪問診療やオンライン診療を提供している。現時点で新型コロナ以外の疾病について区独自に民間事業者と連携することは考えていないが、今後東京都や他自治体の動向や取組にも注目していく。
質問:産前産後のさらなる支援の一つとして、オンラインによる遠隔健康医療相談サービスの導入や、その他オンラインを活用した妊産婦支援を拡充することを提案するが、区の見解は。
子ども家庭部長:妊産婦支援において、オンラインを活用した相談や情報提供は効果的であると認識している。妊娠届出時の面接や保健師等の個別相談にオンラインを導入したほか、本年7月から、オンラインによる母親学級、パパママ学級を実施する。子育て応援券事業においても、助産師による母乳育児相談や、臨床心理士等によるカウンセリング等にオンラインサービスを導入したことで、コロナ禍の中、育児不安の軽減や産後うつ病の早期発見にも寄与していると考える。オンラインによる遠隔健康医療相談サービスを導入する予定はないが、様々な取組により妊産婦支援の充実を図る。
■都市環境委員会(5月31日)報告に対する質疑
(2)荻窪の地域ロゴマークの策定について
質問:204名参加という、集客に関する評価を確認する。
拠点整備担当課長:事前申込は273名分受けていた。かなりいい集客だったのでは。
質問:夜間の開催であり、家庭の事情等で参加が叶わなかった方もいたと思う。演奏部分は著作権等の関係があるだろうと思うが、それ以外の箇所はYouTube配信してよかったのではないか。そのような検討はされたか確認する。
拠点整備担当課長:全て手作りでやっていて、YouTubeまでたどりつかなかった。
要望:今後このような式典は、お祝い事でもあるのでYouTube等を活用した情報保障を行い、どのような生活環境の人も見られるようにしていただきたい。
(4)(仮称)杉並第八小学校跡地公園整備基本計画の策定について
(5)区立富士見丘北公園拡張整備基本計画の策定について
質問:公衆喫煙場所の設置は計画されているか確認する。
みどり公園課長:現時点では両公園とも計画していない。
質問:複合遊具について、具体的な内容は決まっているか。対象年齢やあそびの種類など、決まっていることがあれば伺う。
みどり公園課長:具体的な種類は実施設計の中で選んでいくが、両公園とも近くに保育園があるので、それも踏まえて選んでいく。
要望:複合遊具について、一つ一つの遊具で対象の年齢やできるあそびが異なっている。区のホームページの公園一覧で、写真を掲載したり、対象年齢を明記するなどしてほしい。
質問:公園に設置されている球戯場の設置状況について、地域別にみるとどのような状況になっているか。
みどり公園課長:各地域に平等には設置していない。ある程度の広さが必要で、ボールを使って音も出るので近隣の状況を踏まえて検討している。
※その他、陳情3件を審議しました。
■文化芸術・スポーツ・まちのにぎわいに関する特別委員会(6月7日)
・スギナミ・ウェブ・ミュージアムの取組状況について
・杉並区スポーツ推進計画の改定について
が報告され、委員長として質疑を進行しました。
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お知らせ②
二人乗りベビーカーでのバス乗車について、昨年11月に関東バス株式会社を訪問しました。その後、二人乗りベビーカーに子どもを乗せたままの乗車が5月23日から開始されました。詳細はブログで紹介させていただいています。
「お客様へお願いします」の欄を設けていただきました。この部分に、「ベビーカーでバスに乗り込んでいる保護者の方は、子どもがぐずったりしないか、とても緊張してバスに乗ってきています。温かい目で見守って下さいね。お子さんも、普段とは違う環境で落ち着かないと思いますが、ご理解とご協力をよろしくお願いいたします。」といった文章も付け加えて下さい、ということを私からお願いしました。前向きに捉えていただき、関東バスさん側で文章を検討していただくことになりました。これは二人乗り(≒双子)ベビーカーの乗客だけでなく、子どもとバスに乗る全ての保護者さん共通だと思います。バスの中も、子育てしやすい社会・子育てしやすい杉並区になっていくことを期待したいと思います!
・プロフィール
1983(昭和58)年9月1日生まれ。早稲田大学法学部卒業後リクルートに入社、「SUUMO」で9年間などITの営業部門を歴任。2009年に杉並区荻窪に転入、2011年に転勤で仙台へ。その後札幌での勤務も経験し、2015年に荻窪に戻る。
日本維新の会広報局、東京維新の会事務局長兼政策調査副会長。現在杉並区議会議員1期目。自民・無所属・維新クラブ(交渉会派)に所属。文化芸術・スポーツ・まちのにぎわいに関する特別委員会委員長。その他、都市環境委員会、ICT活用検討推進委員会、杉並区情報公開・個人情報保護審議会、杉並区土地開発公社評議員会等に所属。東京若手議員の会副代表(23区西部、性教育・不妊治療プロジェクト担当)、子どもの事故予防地方議員連盟事務局長。
2018年生まれの双子男児と妻との4人暮らし。