ひとり街宣について(区議会レポートVol.22から)

現在配布している区議会レポートVol.22を読んでいただいた方から、裏面に「選挙管理委員会の矜持が示された」と書いてあるけれど、選挙期間中の標旗なしのひとり街宣が「選挙違反である」と判断されたこと?というお問い合わせをいただきました。細かい文字まで目を通していただき、感謝です。

矜持と書いたのは、区長から独立した行政委員会の立場として、区長に忖度なく法令に基づいた解釈を本会議上で明確にしていただいた、ということを指しています。問題視しているひとり街宣を行っている方の大半(おそらく全員)は区長のお仲間で、区長自身もひとり街宣に対し肯定的な見解を答弁したことがあり、ご本人も合法な内容でしたがひとり街宣をしています。そういった面で、独立した行政委員会である選挙管理委員会が矜持を持ち、選挙期間中の標旗なしのひとり街宣は選挙違反であると答弁されたと認識しています。

正確には、「街頭演説を行う場合、公職選挙法上、名簿届出政党等及び候補者届出政党等並びに候補者は標旗を掲げて行うこととなっており、法令に沿ったものではないとの見解となります」という答弁でした。この部分の質問と答弁の全体を投稿の下部に掲載しておきます。

 

明確に、あらゆるひとり街宣は違反だ!という答弁ではありません。それは、ひとり街宣という行動自体が明確に定義されておらず、また色々なバリエーションを持っている実態があるからです。

プラカードなどもなく単純に「選挙に行きましょう!」と一人地声で叫んでいるだけの人もいて、これは「ひとり街宣を仮に純粋個人が行う街頭での政治活動とみなせば、選挙活動にわたらない限り禁止されてはおりません。」と答弁されているように合法です。

一方で「(候補者名)を再び国政に!あなたの一票を!」と、純粋な個人の活動とは呼べない態様で標旗なしに投票依頼している、という活動もあり、こういった行動については今回の答弁によって今後行われなくなるものと認識しています。

私は先の衆院選では比例活動を担当しており、区内で活動していた時間は限られましたが、それでも何度か遭遇し、一度区選管に連絡して現認しに来るように伝えました。その時の職員の対応は「はぁ、またですか。。。わかりました、至急向かいます」というものであったことは、書き残しておきたいと思います。色々な選挙区を回りましたが、杉並以外では見かけることのない活動でした。

 

今国会で公職選挙法の改正に向けた議論が進んでおり、課題意識の一つにいわゆる二馬力選挙への対策の必要性があると報道されています。候補者の活動ではありませんが、違法なひとり街宣も二馬力的な要素を含んでいます。二馬力選挙を禁止する改正内容で、ひとり街宣についても明確な抑止条項が加わることを期待しています。

 

今年は6月に東京都議会議員選挙、7月に参議院議員選挙が行われます。違法行為のない選挙戦が行われますように。

 

---以下、議事録の抜粋。斜体が答弁---

この項の最後に、いわゆるひとり街宣について伺います。
選挙期間中、荻窪駅などに連日、政治的なメッセージを記したプラカードを首から提げ、拡声機などを用いず肉声で特定候補への投票依頼を行う者がありました。衆議院議員選挙では、選挙運動用の標旗として、候補者本人の標旗、比例ブロック車標旗、比例標旗の3種類があり、比例の2種類においても、比例投票の呼びかけに対し従たる範囲で、小選挙区立候補者への投票呼びかけが可能と解釈されているところではありますが、比例標旗のないところで候補者への投票依頼を行うこと、証紙を貼っていないプラカードを掲示することという2つの行動については公職選挙法に違反しているのではないか、見解を伺います。
選挙種別ごとにルールが異なることから、悪意なく違法行為を行っている場面はあるものと認識しており、ルール自体を見直す必要性も認識しています。その上で、現行のルールの中でいわゆるひとり街宣としてできることについて一度整理することが必要であると思います。区議・区長選、都議選、衆院選、参院選、都知事選、それぞれの選挙種別において、ひとり街宣として行うことができる内容にどのような違いがあるか、このことについては区長に答弁を求め、次の項に移ります。

選挙運動に関する御質問にお答えします。
 公職選挙法上、街頭で選挙運動を行う場合には、選挙の種類ごとに選挙運動用自動車や街頭演説用の標旗を掲出する必要があるので、選挙管理委員会に対して通報があった際には、現場を確認し、取締り機関である警察へ情報提供を行うこととしています。
 また、ひとり街宣に関しては、ひとり街宣という言葉の定義は定まっていないと思われますが、いずれの選挙にあっても、選挙期間中の選挙運動には公職選挙法上の制約がありますので、ルールの中で行われるべきものと考えております。

 

比例標旗のない場所での投票依頼や証紙の貼ってないプラカードの掲示というところに関しては、こういったことがあった場合は違反なんじゃないかということを伺ったつもりではあるんですけれども、それは現認してないからという趣旨の御答弁だったかなと思います。それに関しては承知をいたしました。
再質問させていただくのは1か所です。これは区長に聞いたところではあったんですけれども、私は、区長選とか衆院選とか都知事選とかいう形で選挙種別を明示した上で、それぞれどういう違いがあるのかということについて質問したつもりですが、割と丸めて御答弁いただいたかなと思っているところです。それぞれについての御答弁というのはお手元にないとは思うんですけれども、このあたりの、一つ一つの選挙種別においてできる活動に違いがあるということに関しては御答弁の中でも一定示されたかなと思っているんですけれども、そのあたりのことを候補者陣営に対して啓発していくということも重要かなというような観点も含めて、ここについてもう少し詳しい御答弁がいただけたらありがたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

プラカードの提示、比例標旗なしということですが、現場確認をしておりませんので、一般論として答弁いたします。
 当然のことながら、街頭演説を行う場合、公職選挙法上、名簿届出政党等及び候補者届出政党等並びに候補者は標旗を掲げて行うこととなっており、法令に沿ったものではないとの見解となります。プラカードについても、選挙運動期間中に候補者のポスターや選挙運動用ビラを裏打ちした形状のものに貼って掲示する行為は公職選挙法では認められておりません。
 それから、ひとり街宣に関するものですが、ひとり街宣を仮に純粋個人が行う街頭での政治活動とみなせば、選挙活動にわたらない限り禁止されてはおりません。ただし、選挙運動は、公職選挙法の中で国政選挙での比例重複立候補者に関する選挙運動の仕方や地方選挙での確認団体制度など選挙ごとに個別に規定されているものがあり、ひとり街宣を行う際にはこれらの違いを十分理解して行うべきものと考えます。選挙管理委員会としては、どれが公職選挙法違反でどれが正しいのかという判断というものは基本的には警察に委ねられておりますので、我々としては十分注意して運動を行ってほしいというふうな思いでございます。