3月10日の予算特別委員会での意見開陳(全文)

3月10日、予算特別委員会の各分科会での審議を経て、所属会派を代表して令和3年度杉並区一般会計予算への反対など、付託された議案に対する意見の開陳を行いました。

以下に意見開陳の全文を掲載します。

自民・無所属・維新クラブを代表して、議案第21号令和3年度杉並区一般会計予算ほか、当委員会に付託されている各議案について意見を申し述べます。

冒頭、新型コロナウイルス感染症に罹患された方々、医療従事者の方々、経済面や人間関係構築に大きく影響を受けた方々、我慢の一年を強いられた全ての皆様に、心よりお見舞い申し上げ、政治の役割、区の役割に、改めて強く思いを致すところであります。

そういった中、本委員会で審議された各予算に関する基礎的な認識として、区政を取り巻く環境について改めて整理してまいります。政府は令和3年度の経済見通しにおいて、実質GDP成長率は4.0%程度、名目GDP成長率は4.4%程度とし、様々なリスクはありながらも、年度中には経済がコロナ前の水準に回帰するとしています。一方で収束時期が見通せない現状では、新型コロナウイルス感染症が区財政に対し、長期間にわたり、かつ大きな影響を及ぼす、と想定すべきもの、という区の見解も示されていると承知しています。

令和3年度予算案は「困難を乗り越え、新たな時代に繋ぐ予算」と命名され、基本的な考え方として三点が示されています。一つは、現基本構想のしめくくりの一年であり、総合計画・実行計画における目標の必達に向け意を用いること、二つ目にコロナ対策をはじめ、区民の暮らしの安全・安心を守ること、三つ目に財政の健全性を確保すること、とされています。

このような編成方針のもと策定された令和3年度一般会計予算について、施策面と財政面に分けて述べてまいります。施策面という観点では、基本的な考え方の1と2、施策目標の達成について、またコロナ対策について確認してまいります。

第一に、総合計画に示された施策の最終目標の達成に向け、適切に予算が措置されているかということについては、実行計画の計画額201億6200万円に対して176億8400万円余、約87%の計上となっています。そこで、我が会派の代表質問で、予算額と実行計画における財政計画との差異に関して確認をしましたが、答弁ではこの増加している理由について、計画当時見込んでいなかったコロナ対策経費や公園用地取得費、GIGAスクール関連経費が含まれていることによるもの、ということでした。また保育施設の建設助成については、当初予算に盛り込まず、補正予算で対応することが示されています。総合計画の施策体系別での計画額と予算額との比較について、予算計上率の低い施策および計画額以上に予算を計上している施策については、計画の最終年度に向け、引き続き施策目標の達成に向けて取り組んでいく、という区の姿勢が確認できました。施策指標の達成状況については、令和3年度の決算審査において、最終的に確認をしてまいります。

第二に、新型コロナウイルス感染症から区民の生命と財産を守るための予算措置という観点では、当初予算には今年度実施したコロナ対策の継続として4月から9月までの半年分の施策にかかる経費が計上されており、医療的な施策、経済支援的な施策のそれぞれが盛り込まれていることも確認をいたしました。緊急事態宣言の延長が重なるなど、新型コロナウイルス感染症の収束時期は不透明な状況ではありますが、区としても引き続きコロナ対策についてはしっかりと対応するように求めておきます。

以上のことから、令和3年度一般会計予算について、施策面においては、必要な予算が概ね計上されていると判断いたしました。

一方で、3点目に掲げられている、財政の健全性を確保するという観点についてですが、我が会派は本委員会に限らず、長年にわたり各種審議において、財政の健全性を重視して議案に対する賛否や施策に対する要望を実施してまいりました。それはまさに今般の新型コロナウイルス感染症のような事態、人智の及ばない災厄にあたってもなお、区民の財産と生命を守り、区民福祉の増進を間断なく進めていく、そのために必要な施策を躊躇なく実施することができる健全で堅牢な財政基盤を作るためであります。

そこで、第一の視点として、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて区財政の悪化が予見されている中、厳しさを見据えながらの予算編成が成されているのかどうか。第二に、基幹収入の大幅な減が避けられない中、既定事業等の見直しや事業費の縮減にもダイナミックにメスを入れ、歳出削減に取り組んだのか。第三に、行財政改革をこれまで以上に積極的に推進し、財源を生み出す姿勢が見られたのか。

財政の健全性については、この三つの視点から、判断してまいります。

第一の視点について申し上げます。令和3年度当初予算案では、令和2年度当初予算と比較して52億2900万円増の1990億2500万円と過去最大規模の予算となりました。また10年前の平成24年度と比較すると、実に443億6600万円の増となっており、田中区政となって以降、杉並区の一般会計予算規模は右肩上がりで増加し続けています。

この間の区財政は、人口増による納税者の増加や景気回復の恩恵による税収増に支えられ、堅調な財政運営を行うことができた側面がありますが、令和3年度は特別区税が36億円減、特別区財政交付金が20億円減、また財政計画上の人口よりも実績が少なくなっているなど、令和2年度までとは区財政の前提が変わっています。

なお、東京23区のうち、12区が前年よりも厳しい財政状況を予見して予算規模を縮小した一方で、当区は予算規模の拡大路線を継続しており、そのことに強い危機感を覚えるものであります。さらに、3月5日付の都政新報では、区長が「経済状況がよくない分、様々なニーズもある。今の状況から予算規模は減らすべきではないと判断した」というコメントを寄せていますが、半年前の経営会議で決定した予算編成基本方針を、区長自らが覆されていることにも違和感を覚えた次第であります。

また、財政計画との比較では、当該年度の計画額は1944億5800万円であったのに対して、45億6700万円増加しており、この乖離について代表質問および委員会での質疑を通じて確認しましたが、既定事業の増という答弁があり、ここでも財政構造上の課題が露見されています。既定事業の予算額を令和2年度当初予算と比較すると、1341億8500万円から1397億8600万円へと56億円余増えており、歳出における既定事業の構成比は70%を上回りました。今後歳入の減少が長期的に続くことが懸念される中、歳出は肥大化する一方となると、持続可能な財政運営には不安が残ると言わざるを得ません。

続いて、第二の視点として、歳出削減への取組について見てまいります。今回の予算を編成するにあたって、コロナ禍による経済的な先行きの不透明さから、今申し上げた通り歳入の伸張は見込みづらく、歳出削減に意を用いるべきことは、我が会派の主張に依らずとも、9月4日に発出された「令和3年度予算編成に関する基本方針」において区が自ら定めていることであります。

予算質疑の中で指摘した通り、「予算編成基本方針」では100億円を超える歳入減を覚悟し、「費用対効果を冷徹に見極め、徹底した経費削減・精査に努めること」「事業の必要性や目的、実施効果を再確認するとともに、必ず事業の見直し・廃止・整理統合・縮小を検討すること」「ゼロベース」といった厳しい文言と共に、経費の節減や事業の見直しが明記されていました。

そこで我が会派では、歳出削減を細かく確認する目的のもと、会派の委員が各分科会で、部単位で請求した「事業の廃止・縮小等」の資料を用い、見直し・廃止・整理統合・縮小をした主な事業と、各事業における予算縮減およびその積算根拠について質問してまいりました。

その結果、経費についての削減努力は随所に見られたものの、事業の見直しについては十分に切り込んだとはいえず、不満が残りました。質疑の中でも指摘をしましたが、当初予算1990億円余のうち、職員費・公債費等を除いた対象の1547億円余に対して、各部合計の縮減額は17億9900万円余、削減率は1.15%に留まりました。この縮減額には次年度以降への先送りによるものも多く含まれていることから、100億円の減収を覚悟するとした「予算編成基本方針」に示された歳出削減については、数字上十分に行われたとはいえず、区財政の影響が顕著になる令和3年度予算においては危機感が感じられませんでした。

杉並区においても、財政危機は遠い過去の話ではなく、平成11年度の財政調整基金残高は19億円、平成12年度の区債残高は942億円でした。令和3年度当初予算案にも基金と区債の活用が示されておりますが、その結果決算ベースでは財政調整基金残高を区債残高が上回ることとなっており、このことが平成20年度以来の状況にあることを認識しておく必要があります。新型コロナウイルス感染症の収束時期が見通せず、長期にわたって歳入減・歳出増の環境が続くことを危惧せざるを得ない経済環境下にあっては、「必要な施策」としている事業が本当に必要なものであるか、慣性モーメントを働かせることなく、一つ一つこれから厳しく精査することを求めるものであります。杉並区の状況を客観的に把握する上で、他の特別区との比較を用いるのであれば、杉並区の令和元年度末の基金残高は約579億円、区債残高は約334億円、純粋な貯金は約245億円、区民一人当たり4万2千円余でありますが、23区平均では約711億円、区民一人当たり17万円余の貯金という「差」が既に存在していることにも、留意する必要があります。

続いて、第三の視点である、令和3年度予算案における行財政改革について、申し上げます。財政効果見込み額については、6億8千万円余で前年度比7%減となっており、歳入が見込めない中で行財政改革への取組により財源を生み出す姿勢がこれまで以上に求められる中、見込み額が前年度から減少していることからも、行革への力強さは感じられませんでした。

以上の3つの視点による、財政面からの評価では、持続可能な財政の健全性を確保されたものと判断するに至りませんでした。

ここまで、冒頭に申し上げた施策面と財政面を基に、令和3年度一般会計当初予算を審査してまいりました。施策面については妥当な予算と考えられるものの、財政面においては健全性を確保していると認定するには至らず、総合的に判断し、議案第21号杉並区一般会計予算については反対といたします。

なお、代表質問や各分科会、意見開陳の中で申し上げた内容につきましては、予算の再検討や執行にあたって最大限留意いただくことを要望いたします。

特に、財政ルールの見直しにあたっては、ルール3の赤字区債の原則発行禁止を安易に覆すことのないように明確に求めておきます。

また、来年度策定される各種行政計画について、代表質問でも指摘した通り、パブリックコメントの募集時期が重複することで、区民意見の十分な反映に不都合が生じることのないよう、計画的な策定と募集を求めるものです。

引き続き、必要最小限の区債発行と基金への積立を行い、財政健全化と持続可能な財政運営を確保することを目指して自ら定めた現行財政ルールを棚上げすることなく、ルールを意識した財政運営を求めます。

保健福祉分科会では、施設整備再編計画について議会からの賛同を得ている旨の認識が区長から示されました。議会の賛意を明確にされたいということであれば、来年度策定を進める各種行政計画を、議決対象に含めることについても前向きに検討していただければと思います。

次に、各特別会計について申し上げます。とりわけ国民健康保険事業会計について、法定外繰入が一般会計を圧迫する状況が見受けられますが、保険料の軽減対策に関する特例措置等を継続させる必要が認められるため、法定外繰入の着実な縮減を要望し、ほか各特別会計予算について特段問題ないものと認め、議案第22~24号の各特別会計予算には賛成といたします。

また、予算以外に当委員会に付託された12議案については、各分科会で必要な措置・改正等であることを確認しました。したがって、議案第6~15号、議案第28、29号には賛成といたします。

次に、議案第30号令和3年度杉並区一般会計補正予算(第1号)ならびに議案第31号令和3年度杉並区国民健康保険事業会計補正予算(第1号)について申し上げます。一般会計補正予算はワクチン接種のための予算、国保の補正予算は保険料の減免を行うための予算ということで、賛成できるものと考えます。

しかし、計上されている数値につきましては、現段階で未決の当初予算を前提としております。我が会派は、ただ今申し述べたように、区の一般会計当初予算案に反対している立場から、この補正予算については本意見開陳の段階では賛否を保留とし、当初予算の採決状況により、その場で賛否の決定をすることといたします。

意見開陳の締め括りに、上杉鷹山が次期藩主の治広に家督を譲る際に申し渡した、伝国の辞の一部を引用します。

「国家は先祖より子孫へ伝え候 国家にして我私(わたくし)すべき物にはこれ無く候」

杉並区とその財政は先祖から子孫へ伝えられるものであり、今を生きる私たちの私物ではない。236年前の金言を胸に刻み、持続可能な財政運営を確保するために、議会側から提言を続けてまいります。

結びに当たりまして、公平無私な委員会運営を行っていただいた正副委員長、予算審議に対し真摯にご答弁をいただきました理事者の皆様、資料作成にご協力いただきました職員の皆様に感謝を申し上げ、会派を代表しての意見の開陳を終わります。ありがとうございました。