双子用ベビーカーでの関東バス乗車について(関東バスに行ってきました)

杉並区内の友人から、阿佐ヶ谷のFacebookグループの投稿を読んで、胸が痛くなったよ・・・という連絡をもらいました。

https://www.facebook.com/groups/asagayamatisyoukai/permalink/4680439438667955/

双子用ベビーカーでのバス乗車拒否(拒否はしていなくても、そう感じさせる対応をされる)件については、多胎育児のサポートを考える会代表の市倉加寿代さんが2年前から猛烈に活動し、今年6月から都営バス全線で、双子用ベビーカーをたたまず、子どもを乗せたまま乗車できるようになりました。

https://www.nhk.or.jp/shutoken/wr/20211005.html

都営バスで双子用ベビーカーへの対応が改善されたのは重要なことですが、杉並区民としては関東バスで改善されないと実感を得にくいのも事実です。関東バスの方とお会いしたことがあったため、メールでご連絡し、11月2日に関東バスの本社を訪問してきました。

メールの返信で、既に以下のことは回答をいただいていました。

・国土交通省でとりまとめられた「乗合バスにおける二人乗りベビーカーの利用について」に基づき、実施にむけ、取り扱い方法の確認、固定ベルトの設置、乗務員教育等の準備を進めている
・都内各乗合バス事業者も一致して取り組んでいく方針
・関東バスの実施時期は遅くとも2021年度中。決まり次第、HP、バス車内等で公表
・ベビーカーの折りたたみ利用は、
 1.朝夕のラッシュ時(通勤通学を含む)及び混雑している場合
 2.ベビーカーがすでに2台乗車している場合
 としており、二人乗りや大型のベビーカー等は、ご利用いただけない場合がある

上記からも、前向きに取り組んでくれているのはわかりますが、双子用ベビーカーでバスに乗りたいというニーズは、そのニーズを感じている人にとって時限的なものです。今解決してくれないと困る、という気持ちは理解できます。私としては、少しでも早く実現できるといいいな、また「乗務員教育」という文言もありますが、冒頭の阿佐ヶ谷のFacebookページ内の記載にもある通り、現場での乗務員さんの対応で受け止め方が変わる部分は大いにあると思うので、そのあたりをお伝えできればと思い、訪問したい旨申し出ました。

 

関東バスの方々とお話しさせていただいて、わかったこと、感じたこと。

・事業者としてはとにかく「安全に乗車できること」が何よりも重要。ベビーカーに乗っている子どもだけでなく、保護者や周りの乗客の方も同様に安全を確保できることが大前提で最も重視されている

・都バスとの違いは、都バスはほとんどがノンステップバスに置き換わっている一方、関東バスは混雑緩和の要望に応えるための車内レイアウトが可能なワンステップバスの導入を近年まで行っており、全体の約2割がワンステップバス。ワンステップバスは双子ベビーカー乗車のハードルが極めて高い

・ノンステップ、ワンステップを問わず、バスの大きさも大中小とあり、中小の車体だとどうしても周囲の乗客との交錯が起きてしまう

・ベビーカーのハンドルに荷物をかける利用が多く、重心が高く不安定、また保護者もスマホ等を見ながら乗車し、万が一の際にベビーカーを固定できるとも限らないため、乗せたまま乗車する時はベルト固定を必須とする

・縦型ベビーカーについては問題ない

・遅くとも今年度中と回答するしかないが、本当に一日でも早くと思っている。問い合わせ窓口でうかつなことは言えないけれど、内部的には年内に、と思って鋭意進めている

「少しでも早くと思って鋭意進めている」証拠として、実証実験用にベビーカーを中古で買ったんです、今持ってきますと言って部屋を出てこの双子ベビーカーを10秒で持ってこられました。話の中にも出ていましたが、当日の朝も打合せしていたということで、安全性を検討しながら具体的にどう取り回していくか、頻繁に熱心に打合せしてくれていることを感じました。各営業所にも配備するのであと5台買わないと、と言っていました。

(5リットルの水を入れたポリタンクを2つ乗せています)

 

私から伝えたこととその回答としては、

・混んでいようがワンステップだろうが、必ず来たバスに乗せろと言っているわけでは(基本的に)ない。次に来るバスが混んでいるかがインターネット上で、ワンステップなのかが時刻表上でわかれば、それを踏まえて保護者側で適切に対応できると思うがどうか
→混雑状況のインターネット上での配信は、事例も出てきているが関東バスとしては未対応。バスは毎日同じ時間に同じ車体が来るという仕組みではなく、毎日配車で決定しているので、時刻表への記載は難しい。これもやるのであればインターネット上の対応になるので、混雑状況とあわせて今後の課題

・乗れなかった際の乗務員の対応が、「乗せたいけれど状況的に乗せられなくて申し訳ない」という態度なのか、「面倒な客が来やがった」「双子ベビーカーでバス乗ろうとしてるんじゃないよ」という態度なのかによって、双子の保護者が受けるダメージは全く違う。ガイドラインの策定にあたり、乗務員教育は重要であり、保護者側の心理なども含めて丁寧に記載し徹底させてほしい
→この点は重要なことだと承知している。重点的に精査する

という内容でした。

その他、ガイドラインの策定にあたって、当事者の意見の聴取が可能かどうかを関東バス側からお尋ねいただき、可能であると私から回答。双子ベビーカー乗車対応が完了した後の周知の方法について、区を巻き込んだ施策ができないか関東バス側からご相談いただき、区の交通施策側だけでなく、子ども家庭部サイドから双子の保護者に対する周知(たとえば保健師さん双子保護者への情報提供に加えてもらったり、多胎児イベントの際に周知を行う等)について、できる可能性はあると思うので間に入って調整すると回答する、などしました。

 

横型の双子ベビーカーに乗ってバスに乗って外出したい、という希望は、ワガママだと捉えられがちです。周囲の乗客だけでなく、同じ双子親にも、「バスを使わないといけないところには行かない」という考え方のもと、それはワガママだと言う人もいます。ですが、バスに乗らないと行きたいところに行けない方にとって、特に乳児期の社会から隔絶されたように感じながらの多胎育児にあって、バスに乗れるかどうかは文字通り死活問題、精神衛生上の命綱ともいえる問題であることも事実です。

Facebookグループに記載されている通り、関東バスのお客様窓口では、ベビーカーをたたむ動作の時に「乗客に手伝ってもらって・・・」ということを電話越しに伝え、窓口に電話した方はそのことに激昂されたようですが、双子ベビーカーをたたんで乗ってくれと言われている乗客がいた時に、誰も助け船を出さない、出してくれるイメージが持てないことも大きな問題だと思っています。私は双子の親なので、この場面に出くわしたら当然助けます。ですが、少し状況が違うけど、同じように周りの助けを必要としている人がいた場面の全てで、自然に助け船を出せるか、といえば、それには自信がありません。私も含め、社会全体で、合理的配慮について学びを深め、実践していく必要がありますね。