補助金不正受給問題(杉並区西荻窪商店会連合会)

西荻窪地域で長年実施されていた「ハロー西荻」というお祭りが、今年突如として中止になり、実施主体であった商店会が、「ハロー西荻」と「西荻おわら風の舞」という二つのお祭りに関する補助金を不正に受給していたことが明らかになりました。

 

  1. 事件の経過

2019年4月 東京都から不正の可能性について指摘。当該イベントに関する調査実施。

 当該イベントに関する調査を実施し、不正受給が発覚。都と事実確認を行う

2019年5月以降 都に調査結果報告。都と区で対応を協議

2019年7月10日 都から区への補助金交付決定取り消し、補助金返還請求

 

  1. 明らかになった不正
    • 領収書の偽造:白紙の領収書に水増し額の記入(約117万円)
    • 協賛金の未計上:イベント開催に際して得た協賛金は、イベント収入として補助金対象経費から差し引くべきところ、イベント収入に計上せず、不正に多い補助金を受給(約846万円)

 

  1. 区から都への返還額

5年間の補助金総額:19,256,000円+違約加算金額:4,975,723円

合計24,231,723円

 

  1. 対応について

東京都からの請求に対し、遅延損害金を発生させずに弁済していく必要があると判断し、補正予算での歳出を本会議で可決しました。一方で、その費用の歳入が特別区民税で計上されていることについて、意図は一時的な「立替」であったとしても、区民の税負担によって尻拭いさせられてしまう危険性が排除しきれないため、議会内で複数の提案があり、最終的には付帯決議の可決をもって、区民の税による問題解決をさせない、という意思表示をしています

 

  1. 今後注視していくポイントについて

私自身は荻窪地区を地盤にしている政治家で、西荻窪商店会連合会(以下「西商連」と記載)から直接の情報提供を受けていません。一方でそれがゆえに、噂話が集まってくる立ち位置にいます。

 

ここまでは杉並区から区議会議員やマスコミ関係者に提供があった資料を基に記事を書いていますが、以降については、正確性に欠ける可能性がある情報もあわせ、個人の着眼点、私見を述べていきます。

 

A.毅然とした対応の東京都

 

東京都は3ヶ月前後の調査の結果、補助金の速やかな全額返還を判断しています。東京都補助金等交付規則によれば、補助金の交付決定の全部または一部を取り消すことができるのは、「偽りその他不正の手段により補助金等の交付を受けたとき」となっています。全部または一部、と定められている取り消しについて、全部と判断するからには、「偽りその他不正の手段」によって補助金交付を受けた、と迷いなく判断できるだけの材料を、東京都が収集できていると考えるのが相当でしょう。東京都への情報提供者と思われる個人は、最初は杉並区に情報提供をしようとしたが、区役所窓口で取り合われなかったので、都庁に行ったようです。情報提供者から杉並区が情報を受けなかったのは、窓口の判断ミスなのか、秘匿したい意図があって追い返したのか、経緯からして後者の可能性について疑義を持たざるを得ません。また、返還決定前に杉並区選出の複数の都議会議員が折衝にあたったという話も仄聞しています。それが折衝ではなく「揉み消し」と受け取られて、東京都が態度を硬化させた可能性も否定できません。

 

B.責任を断固拒否する西商連

 

複数の情報源から、西商連(または関係各商店会)は今回の補助金不正受給について「びた一文払うつもりがない」「責任は全て杉並区にある」と強弁していると聞いています。協賛金未計上の錯誤の可能性は考えられるにしても、領収書の偽造という明確な犯罪行為を行っているにも関わらず、これだけ強気な姿勢を取っているのは到底理解の及ぶ話ではありません。これが関係者の個性からきている態度なのか、杉並区に全ての責任を問うだけの決定的な証拠を握っているのか、調査によって解明しなくてはなりません。長年にわたって西商連の会計責任者を務めていたのは、今年3月末で勇退した元区議会議員でした。その地盤を引き継いでいるのは一期目の自民党区議会議員です。さらには、西荻窪駅周辺を担当している消防団の分団長が、先月東京都外に引っ越したという話も聞こえています。街の防災に寄与する、地域の顔役でもある消防団分団長が、元気なうちに地域を出ていくというのは、異例のことです。

 

C.杉並区のあやふやな対応

 

一方の杉並区は、「未解明な事実関係を明らかにしたうえで請求金額を確定し」と、なぜか最初から西商連と杉並区で責任の割合を按分する前提に立っています。また調査機関として設置された補助金検証委員会は、区職員のみで構成されています。これについても外部有識者を加えるべきと意見していますが、副区長が自分の責任でこの組織で調査する、と押し切っています(この件に関しても先に記載した付帯決議で外部有識者を加えることを強く要望しています)。そもそも東京都から指摘を受けた4月以降、区長記者会見の7月25日まで3ヶ月という期間がありながら、事実解明がほとんど進んでおらず「私も不思議に思ってるんです」などと記者からの質問に区長が回答している状況では、これまでの調査が誠実に進められていたのかすら疑問であり、もって今後の調査を内部だけで進める適格性に疑義を生じさせていることを自覚すべきです。さらには、これら区の対応に対する区議会からの追及に対して、答弁をしている所管の次長は、この4月に着任したばかりで、これだけの大問題を受け止めさせるのには、無理があります。西商連の件で触れた元区議会議員の出処進退、元分団長の引っ越しとあわせて、補助金不正受給が早晩露見することを認識していた悪意のある集団がいるのではないか、邪推せざるを得ません。

 

地域の方々、まちの子ども達が楽しみにしていたお祭りが中止されてしまった、その原因である補助金不正受給がなぜ起きたのか。その説明責任と、適切な善後策を区行政と共に作り上げていく責任を、杉並区議会が果たしていく必要があります。私も議会内での徹底的な追及と議論、そして情報発信を続けていきます。