11月19日の一般質問について(質問全文)

11月19日、第四回定例会議会で一般質問を行いました。

1.台風19号に関する一連の対応について
(1)区ホームページについて
(2)すぎナビについて
(3)ごみ収集について
(4)避難所について
2.無電柱化について
3.自転車ナビラインについて
4.荻窪南第二自転車駐車場について
5.組織の目標設定について

質問文を掲載します。

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自民・無所属・維新クラブの松本みつひろです。

10月12日19時前に静岡県伊豆半島に上陸した台風19号は、関東地方・東北地方を中心に多くの死者・行方不明者を出し、20カ所以上で河川の決壊が起きるなど、各地に甚大な被害をもたらしました。被害に遭われた方々に、衷心よりお見舞い申し上げます。

東京を直撃する台風ということで、善福寺川が溢水し、荻窪地区など広い地域に浸水被害が発生した2005年9月4日の台風14号を想起された方もいらっしゃったようです。また9月の台風15号では、千葉県南部で暴風による被害があり、復旧も道半ばというタイミングでの台風19号襲来でした。そのような経緯もあり、区民の皆さんも入念な対策を取られていた方が多かったように思います。強風による被害に備え、植木鉢や物干し竿を台風が近づく前に家の中にしまう、また窓ガラスにテープを貼り飛散を予防する取組などが行われていました。杉並区としても、保育園を含む区施設を早々に休業・閉鎖、また予定されていたイベントを中止・延期し、避難所についても台風15号の際よりも4カ所多い11カ所を、12日の午前中に開設するなど、早めの対応が見受けられました。

一方で、今回の対策の中で十分でなかったと感じた部分について、この先に訪れる災害への備えをより強くしていくという観点で、また今回杉並区では起きなかったが、この先起こりうる状況に対しての想定を確認するために、以下質問致します。

今回の対策の中で、我々区議会議員も協力しながら区民に対して情報発信を行っていましたが、情報が最も集約されている区ホームページへのアクセスができない時間が多くありました。①ホームページへのアクセスができなかった時間はどのくらいあったのか伺います。原因について、本定例会で他の議員が行った一般質問に対する答弁によれば、区ホームページのサーバー自体はダウンしておらず、ホームページへアクセスする際に経由することが定められている、東京都が管理する自治体情報セキュリティクラウドにおいて、目詰まりがあった可能性が高いとのことでした。これについては東京都が対応すべき課題と考えますが、②現時点で東京都として本件に対する原因究明ならびに対策が進んでいるかどうか、区が認識している内容をお示し下さい③総務省のホームページに掲載されている、大規模災害時におけるインターネットの有効活用事例集の中に、別サーバーにミラーサイトを用意するという事例が掲載されていますが、災害対策用としてセキュリティクラウドを経由しないミラーサイトを提供する考えはあるか、答弁を求めます。その際、区民の多くは「杉並区 ホームページ」などの検索ワードを用いて、検索エンジンを経由して流入してくることと思われます。検索エンジン側でも、災害時にキャッシュサイトを検索結果に表示させる取組が始まっているようですが、④区の対応として、DNSサーバーの設定変更により、平常時の区ホームページURLへのアクセス要求をミラーサイトに振り向ける対応は可能か、また実施した際にセキュリティ上などのリスクがありましたら概括的にお示し下さい

今回の台風では、区ホームページを災害対策モードに切り替えている場面がありましたが、⑤ホームページの災害対策モードとはどのようなものか、確認します。9月20日に東京都副知事に就任された宮坂学氏は、自治体のサーバー負荷を懸念し、以下5つのアドバイスをTwitterで発信していました。1.サーバーの増強、2.同一サーバーで配信している余計なコンテンツを落とす、3.静的コンテンツでDBから引いているものはDBキャッシュを見直す、4.静的コンテンツを外部CDNに逃す、5.構成にもよるがhttp配信に切り替える。今回の台風では区のサーバー負荷が起因ではないとのことでしたが、今後の災害への備えとして、⑥これらのアドバイスの中に区として採用しているものがあるか、また区として今後採用する考えがあるか、確認します

区のホームページにアクセスした動機として、「ハザードマップを確認したい」という方が数名いらっしゃいました。すぎナビを確認したところ、すぎナビはその際もアクセスができたのでそちらを案内しましたが、残念ながらどなたもすぎナビのことを認識されていませんでした。⑦すぎナビアプリの累計ダウンロード数、今回の台風接近にあたってのダウンロード数、月間のPVについてお示し下さい⑧すぎナビの主要な特徴である「危険な場所を写真で投稿」という機能について、今回の台風19号に関してどの程度利用があったのか、答弁を求めます⑨すぎナビの利用促進に関する区のこれまでの取組、今後の取組方針についても確認します

東日本大震災の際、東京では電話やメールがほとんど使えない状態でしたが、Twitterは普段通りに利用できており、家族・友人の安否確認に役立っていました。今回の台風でもTwitterはアクセス障害を起こさず、区としてもそのサーバー強靭性を認識していることから、Twitterの「杉並区(地震・水防情報等)」などのアカウントから情報発信をしていました。ただ、早い時間帯に情報発信していた投稿では、具体的な内容についてはホームページへのリンクに委ねており、台風接近時に確認することができませんでした。アクセス障害が確認できた時点からは、投稿本文への内容転記、また河川水位情報はスクリーンショットを利用するなどの工夫をしていました。⑩今後はより早いタイミング、今回でいえば避難所開設の告知あたりから、投稿本文への内容転記やスクリーンショットの活用を求めますが、区の見解を尋ねます。さらに、ホームページ接続障害時に私に問合せがあった区民に対し、Twitterの同アカウントを紹介したのですが、Twitterのアカウントに都度アクセスするのが面倒だという声が複数聞かれました。⑪区TOPページの災害対策モード適用時や先に触れたミラーサイトの構成において、「杉並区(地震・水防情報等)」のTwitterアカウントへの明瞭な誘導、たとえばTwitterへのテキストリンクが開いた画面に大きく表示されている、またはTwitterアカウントに自動的に遷移するようなページへの変更を提案しますが、答弁を求めます

さて、10月12日は土曜日で、私の住んでいる地区では燃やせるゴミの収集日でした。当日のゴミ収集については、予定通り行うが中止する可能性がある、というようにホームページに記載されていたように記憶しています。実際に午後1時頃に収集作業は中断していたかと思いますが、結果的に風雨の激しい時間にゴミが集積場に放置され、風によって飛散していました。朝8時までにゴミを出しましょう、というオペレーションの中、自分の地区のゴミ収集が台風接近前に行われるのか否か判断する材料が区民にあったとはいえず、⑫10月12日のゴミ収集実施は無謀だったのではないかという指摘は先ほども他の議員からありましたが、ゴミ収集を終日中止し、翌日などに振り替える判断もあったのではないでしょうか。または午後1時頃までに全件回収を終えられるように作業員を増員するなど、違うやり方があったのではないかと思いますが、区の所見を伺います。また⑬当日のゴミ収集にあたって作業員に被害が出ていないか、飛散したゴミによる事故・トラブルが起きていないか、確認します。12日のゴミ収集に関するホームページの記載については記憶を基に述べていますが、10月19日時点で、ゴミ収集の情報に関するページは既に削除されていました。お知らせに出さないまでも、ページ自体を削除する必要はないかと思いますので、災害時の一時的な情報についても、区の一般的な情報掲示ルールと同様に取り扱うことを要望します。

杉並区の一連の対応の他に、今回他の自治体が直面した事態について、杉並区で同じことが発生した場合に、どのような対応を取る計画になっているか、2点伺います。⑭避難所に多くの避難者が訪れ、混雑によって受け入れることができなくなった場合、どのような対応を取る予定か、現場のオペレーションと広報の2つの観点から答弁を求めます。また大田区ではその状況下で消防団員が近隣の避難所に移送しようとしたところ、車両の目的外利用ということで移送を差し止められたという事案があったということですが、⑮受け入れ不可の避難所を訪れた避難者の誘導方式について確認します

また、台東区では自主避難所を訪れたホームレスの男性2名に、入口で住所と名前を書くように求めたところ、住所がなく書けないと答えたため、受け入れを拒否されたということがあったようです。本件はインターネット上でも賛否両論が飛び交う大きな議論になっており、隣接する墨田区では受け入れを行っているなど、自治体の対応もまちまちな状況です。⑯路上生活者など住所のない方、また来街者や旅行者など、区外に住所がある方が避難所を訪れた際の、杉並区の対応方針についてお示し下さい

これまで台風19号への対応について、縷々質問してまいりました。防災の三助、自助、共助、公助で一連の対応を振り返ると、自助については先に紹介した植木鉢や物干し竿などへの対応があり、公助という意味では区による避難所の開設や、東京都が整備した神田川・環状七号線地下調節池の取水などが効果を発揮しました。今回他地区で発生した様々な事例を踏まえ、杉並区の対応方針がより適切なものにブラッシュアップされることを望みます。また、共助、地域の中での助け合いにあたっては、最新かつ正確な情報が区民に供給されていることが極めて重要であることから、情報発信に関する一連の課題を速やかに解消し、今回できた対応に共助の要素も加わった、より強固な防災都市・杉並を目指していければと考えております。

より強固な防災都市を目指す観点で、私の住む荻窪地区にとても喜ばしいニュースがありました。9月19日の都市環境委員会に報告があった「特別区道における無電柱化整備路線の選定について」という資料では、特別区道2096-1号線、荻窪5丁目と4丁目の境目となる補助131号線から環状8号線までの区間を、無電柱化整備に優先的に着手する路線として選定したことが明記されています。本区道は青梅街道と環状8号線を繋ぐ機能を持ち、かつ荻窪駅南口から区南部そして世田谷区を結ぶバス路線の設定もあり、南北交通の要ともいえる路線であることから、無電柱化による整備効果が高いとの判断について、直観的にも妥当なように感じています。そこで、「杉並区無電柱化推進方針」に定められた⑰「方針において選定した際の視点」「無電柱化推進計画で掲げている無電柱化の要件」「地震被害シミュレーション」「無電柱化の施工条件等」という各観点において、どのように評価された結果、総合的に当該路線の評価が最も高くなったのか、各論をお示し下さい。経済産業省の推計では、台風15号の被害のうち、千葉県内の電柱倒壊・損傷本数を2,000本と示しており、道路交通を遮断するだけでなく、市原市では倒壊した電柱によって家屋が損壊する被害も確認されています。特別区道2096-1号線沿いの商店を組織している荻窪南口大通り親交商店会の会員に、私からこの件を報告したところ、大変に喜ばれる方があり、また令和四年度以降に予定されている工事着手と完工にぜひとも立ち会いたいと、長寿の希望を強く持たれる方がありました。地域の防災、また安心・安全への寄与に、無電柱化が大きく貢献することを目の当たりにしました。一方で、無電柱化の推進にあたっては、その費用が常に課題となっており、本事業においても東京都の無電柱化チャレンジ支援事業の活用や、低コスト化に向けた検討を行うことが明記されています。⑱現時点での想定として、区は特別区道2096-1号線の680mを無電柱化するための費用総額とそのうち区負担額を、概算でどの程度と見込んでいるのかお尋ねします。また、10月5日付の日本経済新聞の記事によると、6月に着工した豊島区の巣鴨地蔵通り商店街の無電柱化では、地中で電線などを通す管を新しい素材や形状にしたことなどで、工事費は従来より約25%抑えられる見込みのようです。⑲区は豊島区など他自治体と、無電柱化事業のコスト削減について情報交換を行っているのか、確認します。無電柱化を計画的に進めていくにあたり、今回整備することになった路線もそうですが、比較的広い道路から優先的に整備されています。同記事では小池百合子東京都知事が「改めて無電柱化が注目されている。商店街や狭い通りこそ無電柱化で救急車が通れる道幅を確保することが重要だ。お年寄りも歩きやすい」と話したと紹介されています。この意見は狭あい道路が多い杉並区にとっても重要な指摘であり、私も賛成です。『荻窪駅周辺 都市総合交通戦略』40P、2)無電柱化には、「荻窪駅周辺においても、2路線選定されている整備効果の高い路線をはじめとして、駅周辺における無電柱化の調査・検討を進めます」とあり、荻窪駅周辺の交通量の多い商店街や狭い通りの無電柱化において、区と都の考えが一致していることが窺えます。⑳『荻窪駅周辺 都市総合交通戦略』における「駅周辺エリア」の、狭あい道路を含めた全域を対象としての無電柱化を、都補助を活用して進めていただきたいと思いますが、区の見解を求めます

特別区道2096-1号線の現状に目を向けると、車線の進行方向向かって左側に青い矢印が描かれています。議長、三種類の資料の提示を求めます。ありがとうございます。順次掲示してまいります。【掲示】自転車ナビラインと呼ばれているものですが、私の子どもの頃にはなかったもので、このナビラインに関するルールを正確に把握していない区民も一定数いると思われるため、質問させていただきます。㉑まず、ナビライン設置の目的について確認します。ナビラインが設置されている道路では、基本的にすべての自転車は原則ナビライン上を走るというルールになっていますでしょうか。お年寄り、小さな子ども、小さな子どもを乗せた保護者など、自動車のそばを通行するのが危険な方もいると思いますし、臨機応変に判断すればよいのだとは思いますが、原則がどのようになっているか確認します。また㉓車線左側に路上駐車をしている車があった場合、自転車は歩道側に避けるのか、車道側に避けることになっているのかもお示し下さい。㉔ナビライン上を走行する際は、車両用の信号機を順守するのか、歩行者用の信号を順守するのか、お尋ねします。【掲示】㉕ナビライン上は逆走できないものと思いますが、このように道の両側にナビラインがあり、手前を曲がりたいが横断歩道は奥にある、という場合の正しい通行方法を確認します。【掲示】㉖ナビラインに似たもので「ナビマーク」というものがあるようですが、どのような違いがありどのように使い分けられているのか確認します。㉗また、ナビマークやナビラインが途中で途切れている場合は、歩道を走行すべきか、車道を通行すべきかもお示し下さい

ここまでルールについて伺ってまいりましたが、事業の費用対効果についても確認します。㉘杉並区として、本事業にはいつから取り組んでいて、現時点で延長何キロに設置しているか、累計でいくら税投入しているか、お示し下さい。㉙また事業の効果は自転車が関わる交通事故の減少で見るものと想定した上で、事業開始前年度との比較において自転車と歩行者、自転車同士、自転車と自動車の事故数がどのように変化しているか、答弁を求めます。㉚交通事故減少以外にも、ナビラインを設置したことによる政策効果として捕捉しているものがあれば、あわせてご答弁下さい。ナビライン等の有無にかかわらず、自転車は原則車道を走るものとなっていますが、「自転車歩道通行可」の標識がある箇所は歩道通行も可能です。「自転車歩道通行可」となっている道路は、杉並区の道路全体の何%程度か、答弁を求めます自転車が関わる交通事故を減らす上で、ナビライン以外に実施または検討している施策がありましたら、お示し下さい

決算特別委員会において、自転車利用を促進する上で重要な駅周辺の駐輪場整備が着実に進んでいるとの答弁がありました。荻窪税務署の地下部分にあり1,075台を収容する荻窪南第二自転車駐車場は現在も区施設と認識していますが、当該施設の所有者は国なのか区なのか確認します。駅近くの自転車駐車場は、利用者にとって重要な施設と考えるので適正な運営を要望しますが、㉞稼働状況について、収容台数に対して契約が何件あるか、空きがない場合契約待ちがあるのかについてお示し下さい。また㉟親子自転車の受入れなど、需要の変化に対応する新しい施策については、区の裁量で行えるのか、答弁を求めます

最後に、組織の目標設定について伺います。先の第三回定例会における決算特別委員会において、我が会派は平成30年度杉並区一般会計歳入歳出決算を不認定と致しました。その理由の一つに、施策指標の目標達成率が20.5%にとどまっていることを指摘していますが、審査する中で目標設定の質に課題があるのではないかと考えました。施策指標の目標を、区はどのような手順で定めているのか確認します

私は民間企業3社で12年間、営業部門におりました。営業部門の目標設定は、経営と現場、会社と個人の利害が鋭く対立することから、合理的な尺度を重視しつつ、極めて大きい熱量で真剣に議論し決めていくものでありました。1981年に『Management Review』に掲載された『There`s a S.M.A.R.T way to write management`s goal and objectives』で、著者のジョージ・T・ドランが初めて提唱したSMARTの法則と呼ばれる、目標達成の実現可能性を高める目標設定法が広く知れ渡っています。SMARTの法則を構成する5つの成功因子は、時代の変化と共に見直されていますので、現時点で一般的と思われる基準を紹介させていただきます。SがSpecific、目標が具体的か。MはMeasurable、達成度を測れる目標か。AはAchievable、達成可能な目標か。RがRelevant、目標の達成が自分の利益に繋がるか。TはTime-bound、期限が設定されている目標か。です。このSMARTの法則に照らして、施策指標の目標設定を改善すべきではないかと思いますが、区は目標設定に課題があると考えていますでしょうか。改善の取組を適切なタイミングで行うことを求めますが、区の見解を尋ねます。なかでも、Measurableの観点で、達成度を測定するために区民意向調査から近い項目を持ち出して判定している項目が見受けられることについて、施策の達成度を純粋に判断できる客観的で定量的な設問を区民意向調査に盛り込むことや、施策の達成状況を直接的に確認できる調査を区民意向調査とは別に行うこと、Achievableの観点で達成できるかできないかが純粋に行政努力で分かれるような項目に再設定すること、Relevantの観点で施策指標の達成状況が一定程度人事評価と連動するなど、達成結果が職員のモチベーションアップに繋がるような制度設計にすることを提案しますので、答弁を求めます。SMARTの法則などを念頭に、目標達成の実現可能性が高い目標設定と、それを基にした的確な区政評価が行える環境の整備を求める観点から確認します。現在の総合計画は令和3年度までの期間で設定されているものですが、令和4年度以降の総合計画を策定するスケジュールをお示し下さい前回の区長交代時に、総合計画が存在しないブランクの一年がありました。区長の任期に関わらず、そのようなことがないことを要望しますので、最後にそのことに対する見解を求め、質問を終わります。

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