多胎児家庭支援事業について(補正予算審議における質疑)

本日(9月23日)の総務財政委員会に、令和2年度杉並区一般会計補正予算(第7号)の一部として、多胎児家庭支援事業が提案されました。

私自身が多胎児家庭の世帯主ということもあり、取り上げることに躊躇もあったのですが、今年の第一回定例会の一般質問で取り上げ、国や都の補助を活用し、杉並区でも多胎児家庭を支援する事業を行うことを提案しました。

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8月25日に都の交付要綱が示されているので、それを待っていては今定例会の議案には間に合いませんでした。主体的に情報収集し、この秋の定例会に間に合わせた杉並区の動きは素晴らしかったと思います。

定例会に提案された議案は、委員会で分担して審議するのですが、補正予算の審議を行う総務財政委員会の一員として、この事業の審議に直接あたることとなりました。以下に質疑応答を掲載します(音声の書き起こしベースなので、若干の差異がありましたらご容赦ください)。

Q.今年度は国庫支出金と都支出金で全額が賄われているが、来年度以降この補助がなくなった場合、区財源でこの事業を継続する想定はあるか。保健福祉委員会に報告があったかと思いますが、改めて確認する。
A.この事業の補助期間は今年度から5年間と示されている。今後この間の事業実績等の検証を行った上で、継続については協議の上決定していきたい。
 
Q.「とうきょうママパパ応援事業」の多胎児家庭支援事業では、3歳未満の多胎児がいる世帯、多胎妊婦を対象と定義しているが、区の事業として対象を何世帯と算出しているか。
A.過去3年間の出生状況を踏まえて、対象世帯を186世帯と設定している。
 
Q.予算が成立した場合、移動経費補助、多胎児ピアサポート、多胎児家庭支援サポーターの各制度はいつから利用可能か。
A.11月中旬から随時申請受付を行い、必要な手続きを経て利用いただくことになっている。
 
Q.移動経費補助について、同じとうきょうママパパ応援事業の新型コロナウイルス感染症対策として3号補正で可決されている妊産婦タクシーは、青色の子育て応援券を追加で配る形で対応していた。立川市では1万円をチャージしたSuicaを贈呈していたようだが、今回の移動経費の補助をどのように行うか確認する。
A.今年度については、保健師等の面談の後、申請に基づいてタクシー共通乗車券の活用を想定している。
 
Q.移動経費補助は保健師等との面談を条件とされているが、担当保健師から対象世帯に面談の申し入れがあるのか、対象世帯から保健センター等にアプローチをする形になるのか。
A.0,1,2歳の多胎児がいる世帯に面接を行うこととしている。すこやか赤ちゃん訪問や乳幼児健診、多胎児家庭等の交流会等の機会を活用し面接ができるよう、担当する保健師等からも連絡させていただきたいと考えている。
 
Q.多胎児ピアサポート事業は、都の補助基準額月額21万5千円で割り戻すと2.6ヶ月程度分の予算計上となっているが、期間や内容で一部の実施にとどめる予定か。
A.11月~来年3月までの5ヶ月分として計上している。各保健センターで実施している交流会において、多胎児経験者、助産師、保育士等の専門職における相談、加えて講演会を予定している。
 
Q.多胎児家庭支援サポーター事業について、サポーターを派遣する事業者は予め定める方式か、ベビーシッターマッチングサイトなども含め利用者が幅広く選択可能とするのか。
A.今後事業者に幅広く呼びかけを行い、基準を満たした事業者と委託契約を行う予定。その上で事業者名簿を作成し、利用者にはその中から選んでもらうように考えている。
 
Q.利用者の自己負担額と、精算方式をどのようにする想定か。
A.1時間500円。自己負担分は直接事業者に支払う想定で、子育て応援券も利用できるようにしたい。
質疑を通じて、この事業については以下のように意見開陳しています。
多胎児家庭支援事業について、一般質問でも触れましたが、補助事業があるからそれを活用するというのではなく、区として必要な施策であるという意思決定の元、マイノリティである多胎児世帯に対する多面的な事業が提案されましたこと、あらためて感謝申し上げます。事業の実施にあたり、当事者が制度の利用を躊躇うような複雑な手続きを極力なくしていくことについても手厚くご配慮いただいておりました。引き続き、利便性に心を砕いた制度設計を進めていただきたく思います。
上記のやり取りの中でもとりわけ重要なのは「担当する保健師等からも連絡させていただきたい」の部分です。
多胎児家庭の支援を行うにあたっての「はじめの一歩」を当事者から踏み出させるのではなく、それすらままならない多胎育児の混沌に対して区側がアウトリーチを行って一緒に踏み出す、という姿勢は、この制度を当事者が活用し、多胎育児世帯を助けたいという区の思いを実現する上で極めて重要なポイントだと思います。
 
11月中旬以降に本事業がローンチし、活用状況などもつぶさに確認しながら、必要があれば改善の提案も継続して行っていきたいと思います。