11月16日の一般質問について(質問全文)
11月16日、令和2年第4回定例会で一般質問を行いました。
1.区立児童相談所について2.住居表示について3.転出状況について4.新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令の一部を改正する政令等に対する区の対応について
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以下に質問の全文を掲載します。
自民・無所属・維新クラブの松本みつひろです。冒頭、一言お悔みを申し上げます。杉並名誉区民で2002年にノーベル物理学賞を受賞された物理学者の小柴昌俊氏が、11月12日、94歳でご逝去されました。長年にわたるご活躍に深甚なる敬意を表し、安らかなるご冥福を心よりお祈り申し上げます。
それでは通告に従い、一般質問をいたします。質問内容は、1.区立児童相談所について、2.住居表示について、3.転出状況について、4.新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令の一部を改正する政令等に対する区の対応について、です。
まず、区立児童相談所(以下児相)について質問します。1-1.区児相を設置し、これまで東京都杉並児童相談所が担ってきた一時保護をはじめとする法的権限による介入を、区児相に移管することのメリットにはどのようなものがあるか、区の見解を伺います。今年6月にも、大田区でネグレクトによって3歳の女児が衰弱死する事件が起きるなど、悲惨な児童虐待事件が後を絶たない中で、杉並区では地域型の子ども家庭支援センター(以下子家セン)を昨年度高円寺に開設、続けて荻窪地区に令和4年度、高井戸地区に令和5年度の開設を目指すこと、さらには区設置の児童相談所を検討することなどが示されてまいりました。1-2.区児相は現在東京都が運営している都児相の場所に設置する想定か、別の場所を念頭に置いているか、検討状況を確認します。都児相には一時保護所が付設されておりませんが、今般の児童虐待の増加から考えるに、児相に一時保護所が付設されていることは必要なことと認識しています。1-3.区児相に一時保護所を付設することについて、区の方針を確認します。東京都児童相談所一時保護所外部評価における児童相談センター保護第二課(西部分室)の外部評価結果報告書には、「一時保護の必要な児童の増加から、定員超過が常態化している」という記載があります。一時保護が必要な児童を遺漏なく受け入れることを求めますが、1-4.一時保護所の定員設定について、現時点での検討状況を確認します。現在杉並区内には都児相の一時保護所が存在しないと聞いています。令和2年3月31日付で発出された東京都一時保護要領によると、「児童の安全確保が可能な場合には、一時保護中の通学が可能となるよう、里親や児童福祉施設、区市町村が要支援ショートステイに使用している施設なども活用して、一時保護委託を実施する。」とありますが、里親等の一時保護委託における通学に限定せず、一時保護所からの通学も可能とする場合には、様々な懸念が出てくることが想定されます。一時保護所で生活するに児童について、立地学区内の区立学校でも受け入れを可能とする方針とするか否かは、今後検討を進めていく中での論点になるものと思いますが、いずれにせよ一時保護所における被虐待児童の学習権の保障は重要なテーマですので、教育ICT化の恩恵を十分に取り入れた検討を今後進めていただくことについて、要望させていただきます。杉並区内の一時保護件数は、2015年度35件から2019年度75件へと倍以上に増えており、一時保護所の設置にとどまらず、一時保護委託による受入の拡充が望ましいものと思います。1-5.一時保護の委託を受けていただける先のうち、里親を増やすための取組について答弁を求めます。
東京都の児相では、同じ東京都の所掌であることから、警視庁との情報連携が一定程度行われていたものと思いますが、1-6.区児相も警視庁との情報連携について、適切に行うことができる見込みであるか、区の見解を求めます。児相と子家センが共に区の組織になることは、情報連携面でメリットがあるものと思いますが、1-7.都の児相と区の子家センでのこれまでの情報連携について、状況を確認します。
児相一般について、児童福祉士等の職員の人手不足がかねてから指摘されているところです。都は会計年度任用職員の採用を積極的に行っているようですが、1-8.区児相の運営に必要な人材を確保するための施策について、会計年度任用職員だけでなく、再任用職員や正規職員としての中途採用の活用なども含めた検討がなされているか、状況を確認します。また行政職員に関しても、短期間での異動と引継ぎを繰り返すことで、支援の網の目からこぼれる人が出てこないよう、1-9.児童福祉や対人援助のスペシャリストを育成するようなキャリアトラックが必要となるかと思いますが、このことについて区の見解を求めます。政府の児童虐待防止対策に関する関係府省庁連絡会議が策定した「児童虐待防止対策体制総合強化プラン」では、2022年度には児童福祉士の配置について、人口3万人あたり1名とし、児童福祉士一人あたりの業務量を40ケース相当とする、とされています。人口が57万人余ですので、割り戻すと杉並区では20名の児童福祉士が必要となります。1-10.区児相設置までに必要な児童福祉士を確保することは可能と捉えているか、またそのために行っている施策を確認し、あわせてその人数で40ケース相当の業務量が実現されることになるか、見解を求めます。
人員体制の強化によって、虐待の未然防止や早期発見への取組を進めていくことを期待する一方で、大変気になるニュースを耳にしました。兵庫県中央こども家庭センターが親の虐待を疑い、生後50日の次男を一時保護した事案が不当であったとして、親子が暮らす兵庫県明石市の市長が両親に謝罪しました。2018年8月、夫婦の次男が右腕をらせん状に骨折していたことから、病院から通報を受けた県中央こども家庭センターが親による虐待を疑ったというものです。児童虐待に詳しいとされる児相のアドバイザー医師が「100%虐待によるものと考える」と意見を付したことで一時保護となり、児童福祉法に基づき次男の児童福祉施設入所を求める審判をセンターが神戸家裁明石支部に申し立てましたが、「虐待とは認められない」として申し立てを却下、大阪高裁への即時抗告も棄却され、次男は1年3カ月ぶりに親の元へ戻ったということでした。乳児期の愛着形成の機会を逸した親の無念を思うと、胸が締め付けられます。県中央子どもセンターの所長は、「県の審議会にも諮った上での対応で、やむを得なかった」と話しているということです。
一時保護をはじめとする法的権限による介入には強い責任が伴い、誤った判断が家庭に与える影響は極めて大きい、ということを改めて感じます。そのことを改めて認識した上で、私たちがこの事件から学ぶべきことは、区児相が子ども達を虐待から守る行動を果断に行っていくために、即座に機能する地域密着型の審議会、区児相の積極的な活動と重要な判断をサポートする審議会を持つ重要性にあると私は思います。頻回に審議を行うことができる、少数かつ精鋭の審議会が、対面等の形式にこだわることなく、即時に的確な審議を行うこと、その上で結果責任を児相と審議会が分かち合うことが極めて重要であることを指摘します。それなくして、このような悲しい事件を未然に防ぐことも、虐待疑いの家庭に対峙する児相職員が勇気をもって適切な措置を行うこともできないのではないかと考えます。先ほど述べたような審議会の在り方は、都から区へ児童相談所を移管することによって実現可能となったことの一つであると考える立場から、1-11.区児相の設置にあたって、頻回に審議を行うことができる、少数かつ精鋭の審議会を同時に設置すべきと思いますが、このことについて区の見解を求めます。なお、先ほど触れた事件を受け、兵庫県明石市では11月5日、市長が記者会見を開き、11月9日付で児相内に「こども通学・面会等支援課」を新設し、今後は一時保護された子どもが希望した場合、保護者との面会を毎日可能にすること、学校への通学も職員が付き添うなどして可能とするべく態勢を整えると発表しました。このようないわば非連続的な取り組みについても注視が必要と思います。この項の最後に、1-12.区立児相の設置に向けた所管の意気込みを伺い、次の質問に移ります。
(オレンジリボンを身に着けて質問しました)
住居表示について伺います。私たちの住まいには、町名、街区符号、住居番号、集合住宅の場合には部屋番号からなる、住居表示が付与されています。この住居表示を使い、私たちは手紙や宅配便を送り、受け取るなどのコミュニケーションを取ってきました。最近ではネット通販やネットスーパーの利用が拡大し、またコロナ禍にあっては飲食店の料理を自宅に届けてくれるサービスなどが広く利用されるようになったことで、住居表示を伝え、それを用いて様々な業者が自宅まで来てくれる、ということが増えています。
私が暮らしている荻窪5丁目には、集合住宅が近接して多数存在しています。そういった中で、私と同じ住居表示を持つ家が他にもあり、別の家に注文の品を間違えて届けそうになった、ということをある業者さんから言われました。架空の住居表示ですが、荻窪5丁目40番30号のマンションが3棟あり、210号室が2部屋存在する、ということが起きています。2-1.住居表示はどのように決められているのか、ご説明ください。また2-2.住居表示を決める上での基準は、法律によって定められているのかなど、根拠法令を確認します。2-3.同一の住居表示が付定されている住宅は、区内に何棟あるのか、あわせて伺います。
このように同一の住居表示が発生しうることへの対策として、平成25年第2回定例会の区民生活委員会に、「宅地開発等に伴う同一住居番号付定の不便解消について」という報告事項があり、このような場合に枝番号を用いることが示されました。2-4.申出を受け、枝番号を付定したケースがこれまで何件あったのか、確認します。2-5.マンションに枝番号が付された場合、枝番号は居室番号の前に来るのか、後ろに来るのか。2-6.枝番号を付定した場合に、インターネット上の地図サービスで住所を入力した際、正確に場所が特定されるようになっているか、伺います。民間のウェブサイトなどで住所を登録する際に、住居番号の欄に半角数字しか入力できないように設定されていることもあり、枝番号の記入が難しい場面もあるのではないかと懸念しています。マンションでは、マンション名など、方書の記載が求められるケースが多くありますが、マンション名によく用いられる地名だけでも、たとえば「荻窪」は24画、方書だけで80画近くに達するマンションも荻窪にあり、いずれも利便性の観点からは改善の余地があるように私は思います。
住居表示に関する法律第1条「この法律は、合理的な住居表示の制度及びその実施について必要な措置を定め、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする」の精神と照らし合わせてみた時に、合理性の観点、公共の福祉の増進の観点から、枝番号や方書によることなく、一意の、つまり重複のない住居表示の付定が求められているのではないか。そしてネットショッピングや料理宅配サービスの拡大などがそれを後押ししている、そのような状況にあると認識しています。
街区、つまり荻窪5丁目40番については、生活にも密着しており、空間的にも把握できることから、変更が必要とは考えておりませんが、住居番号、先ほどの例でいえば30号の部分、については、ルールを見直すことを提案します。具体的には、新築届が提出された際、現状のルールに則って付定した場合に同一となる住居表示の建物が既に存在する場合には、街区として未利用の住居番号を付定する、というものです。自宅に来てもらうサービスが広がりを見せ、配送のプロ以外が住居表示を頼りに訪問することが増えていく中、住所がわからない場合の一般的な行動は、街区の東南角から時計回りに回ることよりも、カーナビやスマホの地図に住居表示を入力することの方が今は多いと思われます。そのため、住居番号については連続性よりも一意性が重要ではないかと考えます。また今後、デジタルトランスフォーメーションを進めていくにあたり、区内の世帯を一意に識別することができるデータベースが求められることから、新築届提出の場面に限らず、建物所有者の希望をもって一意の住居番号を付定することは、区民の利便性だけでなく、区政一般にも良い影響を及ぼすものと考えます。
以上の理由から、2-7.新築届が提出された際、現状のルールに則って付定した場合に同一となる住居表示の建物が既に存在する場合、もしくは建物所有者の希望があった場合に、街区として未利用の住居番号を付定することを可能とする、そしてそれに必要な法令を改正することを求めますが、このことについて区の見解を求め、次の質問に移ります。
これより、転出状況について確認してまいります。総務省が10月27日発表した住民基本台帳人口移動報告によると、9月の東京都の転出者数は30,644人となり、前年同月比で12.5%増え、一方で9月の都内への転入者数は11.7%減の27,006人だったということです。転出超過数は3,638人となり、これで東京都は3ヶ月連続で転出超過となりました。また東京都が10月29日に発表した推計結果によれば、杉並区の減少数が東京都の62区市町村で最も多かったということですが、これらの報道を踏まえ、3-1.7月以降の区の転出入状況を確認します。
杉並区はこれまで、想定を上回る社会増によって人口が増加してきました。たとえば、杉並区子ども・子育て支援事業計画第2期に示された、令和2年1月1日時点の推計人口は572,679人となっていますが、実績は574,118人と1,439人の上振れでした。好調な転入が社会増という結果をもたらし、それが税収等の上振れにも繋がっていました。待機児童0の3年連続達成を実現しつつ、新型コロナウイルス感染症第一波では区内基幹病院の経営支援を自主財源で行うことができるなど、機を見て必要な投資を行うことができていたのは、前区政による財政再建や現区政での財政ルールの尊重だけでなく、社会増からなる歳入の増加が大きな要因だったと考えています。現時点では数が多くないとはいえ、転出入の逆回転は、その文脈から注視が必要であると考えています。
3-2.転出について、年少人口、生産年齢人口、高齢者人口に分けて、7月以降の状況を確認します。3-3.外国籍の方の転出についても、7月以降の状況を確認します。3-4.あわせて、転出先の地区としては、どういった先が多くなっているか、伺います。転出する理由について、報道等では「新型コロナウイルス感染症の感染拡大が影響しているとみられる」などとされていますが、3-5.区として転出超過が増加している理由をどのように把握しているか、確認します。
令和元年10月に公表された第51回杉並区区民意向調査によれば、定住意向は「住み続けるつもり」が56.6%、「当分の間は住み続けたい」が31%、あわせて9割近いという結果が出ています。3-6.定住を促すために区が行っている施策には、どのようなものがあるか確認します。私は大学卒業後、新築マンションの不動産広告を扱う仕事をしていました。そういった背景もあり、同じ30代の友人たちから、杉並の暮らしやすさを実感し、区内で住宅を購入したいという相談を受けているのですが、価格が高く、実質的な選択肢に乏しいため、購入に至りません。3-7.区内の住宅地の地価公示価格について、近10年の推移を伺います。あわせて、3-8.35~44歳が世帯主の世帯における持ち家率についても、同様に推移を確認します。現役世代の住宅購入を促し、杉並区に定着させることは区政における税収確保の施策として重要であり、また現下の状況においては、人口流出を抑制する効果が期待されるところです。
現役世代の定住施策といえば、これまではもっぱら地方が、東京一極集中への対応として施策立案をしてきたテーマではありますが、たとえば平成26年に国土交通省が取りまとめた「国土のグランドデザイン2050」には、「都市機能の再整備を図りつつ、既存インフラの再編・再構築や都市の再開発を行う」「多様な住宅ニーズに対応できる住宅等の一体的再編、再構築を行うこと」「環境に優しく、高齢者が健康に歩いて暮らせ、同時に子育てしやすい多世代循環型の環境都市を構築するためのマスタープランを策定」などのキーワードがちりばめられており、これまでの区の取組と軌を一にする要素と、改めて検討を要する要素の双方が含まれているように感じます。既に行われている取組に、新たに必要な施策を加え、現役世代の定住支援施策として体系化させていく必要が今まさに生まれつつあるのではないかと認識しています。3-9.来年度に計画終期を迎える杉並区住宅マスタープランの次期計画において、現役世代の定着、そしてその方策の一つとして持ち家率を高めるための施策についても議論いただければと思いますが、そのことについて区の見解を伺います。現在検討が行われている、今後概ね10年程度を見据えた新たな基本構想の審議の場でも、現役世代に向けた定住支援策についての議論が行われることを期待します。
最後に、新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令の一部を改正する政令等に対する、区の対応について質問します。まず、4-1.都内及び区内における、新型コロナウイルス感染症の感染者数、入院者数、新型コロナウイルス感染症用に確保されている病床数、病床使用率について、最新の数字を確認します。「医療資源を重症者や重症化リスクのあるものに重点化していく観点から、新型コロナウイルス感染症に係る入院の勧告・措置について見直しを行う」として発出された健発1014第5号によって、感染症法第19条及び第20条の入院の勧告・措置の対象が、65歳以上の者、呼吸器疾患を有する者、妊婦、症状が重度又は中等度である者などに限定されました。これまでに把握されている医学的知見等を踏まえ、季節性インフルエンザの流行時期も見据えた適切な改正であると評価しています。10月24日から施行されていますが、4-2.区の入院勧告・措置の対象について、この通知に対応する形で対象を限定した運用を行っているか、現時点での対応状況について確認します。
季節性インフルエンザと新型コロナウイルス感染症の同時流行が懸念されている中、いわゆる第一波の時のように、入院加療が必要な患者をどの病院も受け入れることができない、「医療崩壊」が現実的な脅威となってきた際に、「医療資源を重症者や重症化リスクのあるものに重点化していく」ために発出されたこの政令変更の狙いが活きてくるものと考えます。4-3.病床が逼迫した際には、この通知に示された入院勧告・措置を積極的に活用するほか、最新の知見を用いて入院加療の必要性を厳格に精査することで、「医療崩壊」を未然に防ぐことにつながるのではないかと考えますが、最後にこのことについて区の見解を求め、質問を終わります。