「杉並区まちづくり基本方針(杉並区都市計画マスタープラン)」等の改定案

12月12日、都市環境委員会の閉会中審査が開催され、杉並区のまちづくりに関する3つの計画の案が報告されました。
この投稿では、その主なトピックを紹介し、この中でも最上位の計画である「杉並区まちづくり基本方針」にご意見をお寄せいただく際の参考にしていただくことを目的とします。

■杉並区まちづくり基本方針(杉並区都市計画マスタープラン)案

●ポイント
1.商業・業務集積地区について、「地区の実情に応じた再開発・都市開発諸制度の活用」が明記されました。現行の基本計画では「都市活性化拠点及び地域生活拠点にふさわしい密度の土地利用を誘導」と、再開発を念頭に置きながらも、その単語を使わないように腐心しています。当日の質疑でも、「再開発」に懸念を示す区民が存在することには言及がありました。それでも、土地の大部分を個人が宅地として保有しており、公共用地が少ない杉並区が、増加の一途を辿る公共用地需要に応えていこうとするのであれば、容積率を活用・拡張していく、いわば上空に向かって拡大していくしか道がないことは自明であり、このことを明確にしたことを私は評価します。

現計画における記載 

新計画(案)の記載

2.南北バス「すぎ丸」について、様々な課題があり今後どのようにしていくか(場合によっては廃止も考える?)という議論があり、MaaSの議論もすぎ丸の代替措置としての検討と捉えていたところから、今回「維持・改善を検討」と前向きな記載に変わりました。

3.昭和62年から検討が続けられている「エイトライナー」という、環状8号線沿線を鉄道でつなぐ構想があり、検討としては長年膠着が続いている認識でしたが、「関係区と連携を図りながら、整備実現に向けて取り組む」とこれも前向きな記載に変わりました。実現するとなると井荻、荻窪、高井戸の環八沿線のまちづくりには大きな影響があるとみられ、注目すべき点です。

4.公園についても大きな進展が見られました。杉並区は総じて遊具が充実した子どものための公園ではなく、高齢者を含めた地域全員の憩いの場としてフリースペースの多い公園が多くあり、子育て世帯から不満の声を多く聞いてきたところですが、2,500㎡を基準とし、2,500㎡以上の公園について「遊具、球戯場」を設けることが示されました。該当するのは区内の公園の2割程度ですが、基準が明確化されたことは重要と考えます。また、杉並区バリアフリー基本構想(案)には、かねてより求めてきたインクルーシブ遊具の導入も明記されました。

なお、岸本区長の意見を反映するために、今回の3計画の改定作業が遅れていましたが、岸本区長の意見を反映した部分としては4ページ目の「4 基本姿勢」の4-5と4-6で、まちづくりに防災とゼロカーボンの観点を反映するという趣旨であり、私としては特に違和感なく受け入れているところです。

以上、私の視点から、特に重要と思われる4つの要素を取り上げましたが、まちづくり基本方針は概ね20年後のまちの未来を展望するものですから、他にも様々な観点があるものと思います。

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