5月31日の一般質問について(質問全文)
5月31日、令和5年第2回定例会の本会議で一般質問を行いました。
- 杉並保健所について
- 煩音について
- AIの活用について
- 防災について
- ふるさと納税について
3.AIの活用についてがYahoo!ニュースの記事になりました。
〈動画〉
以下に質問の全文を掲載します。
杉並維新の会の松本みつひろです。通告に従い、杉並保健所について、煩音について、AIの活用について、防災について、ふるさと納税について質問します。
1.杉並保健所について
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけについて、これまで国は外出自粛の要請や入院勧告などの厳しい措置をとることができる「2類相当」として対策にあたってきましたが、5月8日に季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行しました。入院・外来の医療費等一部の対応が9月末まで措置されていますが、1-1.直近における新型コロナウイルス感染症に関わる杉並保健所の組織・人員体制や、労働時間等、状況を確認いたします。
新型コロナウイルス感染症対策の「現場」として、膨大な業務が集まった杉並保健所では、所内の諸室も順次コロナ対策に転換されましたが、転換された機能の復旧が計られるべき時機と考え、確認いたします。保育所の入園申し込みについて、今年の第一回定例会における私の一般質問に対し、当時の子ども家庭部長から今年度の見直しについて、いくつかの重要な答弁がありました。保育短時間制度を選択可能とすること、保護者の同時育休取得時の継続利用、退園した場合の優先入園、就学について就労と指数を同程度とする、などの見直しが検討されていると承知していますが、そのような制度の変更にあたり、保育施設入所申込者に対する丁寧な説明の場所として、荻窪子どもセンターが果たすべき役割は重要であると考えます。さらに、荻窪の南側には貴重な乳幼児親子の居場所であった、乳幼児室についても、一日も早い再開が望まれます。1-2. ロゴフォームによる窓口予約の受付を開始することについて、また杉並保健所内の乳幼児室を再開することについて見解を伺い、次の項に移ります。
- 煩音について
今話題にした、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけ変更により、今年は地域のイベントがこれまでの3年間と比較して多く開催されることが予期され、そのことを心から嬉しく思っています。5月13日・14日には荻窪タウンセブン8階あおぞらパークでオギボン祭りが開催され、悪天候の中でも多くの来場者が足を運んでいました。今年行われる地域のイベントが、区内に多くの新しいつながりを生み出していくことに、大きな期待を寄せています。
一方で、大半のイベントが行われなかった「静かな3年間」を経たことで、音に対する区民の感受性に変化があるようにも感じています。一つの事例として、昨年7月に夏休みの学校校庭を使って朝6時半から行われたラジオ体操について、放送音量に対する苦情があり、校庭の大半に音が届かない非常に小さな音量でラジオ体操を一週間実施した地域があると仄聞しています。
長野県長野市の「青木島遊園地」が、「「子どもの声がうるさい」という1軒の苦情をきっかけに廃止された」と報道され、話題となりました。市はこの報道内容を否定する趣旨で、廃止に至る判断の経緯をホームページで公表していますが、それ以降も地元紙は市の理不尽な対応に憤る住民の声を紹介し、なかでも最終利用日の4月14日に「ありがとう」などと書いた模造紙を掲げて記念撮影をしようとした子どもたちを、市の社会福祉協議会職員が制止したことが、子どもたちの気持ちを踏みにじる対応だとして批判されたところです。2-1.杉並区立公園での子どもの声に対する苦情は何園に対して何件寄せられているか、またその2-2.苦情への対応として子どもが声を出すことに対する抑止を実施した件数と、2-3.苦情への対応としてこれまでに公園を廃止した件数、ならびに2-4.廃止を検討している園数をお示しください。
消防団が行う歳末警戒、拍子木を打ち鳴らしながら火災への警戒を呼び掛ける情景を想像される方もいらっしゃると思いますが、私が所属している分団では、過去に拍子木の音がうるさいという苦情を受けたことで、10年以上拍子木を打つことを自粛していました。甲高い音ではありますが騒音という水準の音量ではなく、家の外を歩いて通り過ぎていく年末の風物詩に憤りを感じる心理を、私は長い間、自分に引き寄せることができずにいました。
そんな中で知ったのが「煩音」という言葉です。騒音に詳しい八戸工業大学名誉教授・騒音問題総合研究所代表の橋本典久氏は「音量が大きく、耳で聞いてうるさく感じる音」である騒音と区別する形で、「音量がさほど大きくなくても、自分の心理状態や相手との人間関係によってうるさく感じてしまう音」を煩音と定義し、これを騒音と区別して捉えることが問題解決の第一歩であると指摘をしています。2022年3月25日のヤフーニュースに橋本氏が寄稿した文章には、「生活音や子どもの声は昔も今も同じ音量であり、昔はだれもうるさいとは言わなかった」「音が変わったのではなく、それを聞く人間の側が変わった」「公害騒音はまさに騒音であり、近隣騒音は主に煩音である」「煩音の代表格である近隣騒音では、些細な音で多くの殺傷事件が日常茶飯に起こっています。すなわち、騒音では事件は起きないが、煩音では事件が起きる」などとあります。
先に触れた「青木島遊園地」について、2022年12月9日のテレビ番組に出演した橋本氏は「心理的な問題なので、当事者同士でなく第三者による話し合いが必要」とコメントしているということです。2-5.杉並区ではこれまで、騒音問題に限らず、区民間の利益が衝突している場面で原則として調整に介入することをせず、当事者間で話をまとめるように指示してきたと認識していますが、このことについて区の見解をお尋ねします。
冒頭に述べたように、今年はコロナ禍で自粛してきた多くのイベントが開催を目指して準備を進めている重要なタイミングです。煩音によってトラブルが発生し、企画が頓挫し、そのことによって本来創出できたはずのつながり作りの機会を失うことは、それ自体が不幸なことであるだけでなく、次の煩音問題を引き起こしかねない点で不利益が大きいと考えます。また、イベント実施中の煩音がきっかけとなって事件が起きてしまうようなことは、区民の生命と財産を守る責務を負う区として身を挺して阻止するべきことと考えます。そのために、2-6.煩音について区民に周知啓発を行うこと、2-7.騒音・煩音に関する専門機関とあらかじめ連携を取った上で、区政相談課窓口や区公式LINE等で相談を受け付けること、2-8.当事者間の利益が衝突している場面では必要に応じて第三者の立場で調整に介入すること、2-9.騒音・煩音に対する相談事例を、個人が特定されない配慮を行った上で区ホームページ等において速やかに情報公開することの4点を提案しますが、それぞれについて区の見解を求めます。
この項の最後に、煩音対策の観点で断熱改修等省エネルギー対策助成について伺います。先に触れたヤフーニュースの記事で、橋本氏は防音対策で騒音トラブルが減ることはないと指摘をしていますが、私は煩音の周知啓発が進んでいく中で、煩音に苦しむ当事者の自衛の手段として、防音対策を支援することは必要ではないかと現時点で考えています。私は2013年度から2年間、転勤で札幌市に住んでいましたが、札幌市の住宅では内窓がついた二重窓が標準的な設備仕様となっており、断熱効果だけでなく、二重窓のもつ防音効果についても経験しています。
断熱改修等省エネルギー対策助成は今年度から、既存住宅における窓等断熱改修が拡充されました。拡充のポイントとして、公益財団法人北海道環境財団補助対象製品を助成対象機器に追加していますが、2-10.なぜ同財団の補助対象製品を助成対象機器に追加したのか、またそれによって助成対象機器はどの程度増えたのか、まず確認します。2-11.同助成制度の申請要件を確認する限りでは、防音対策の意図をもって内窓設置等を行っても助成の対象となるように見受けられますが、見解を伺います。先に求めた、2-12.煩音に関する周知啓発の一環として、同助成名称に防音対策を追加することを提案しますので、このことに対する見解を求め、次の項に移ります。
- AIの活用について
5月10日から12日の3日間、デジタル技術各種の展示会が行われ、私はAI・人工知能 EXPOとEDIX(教育総合展)で情報収集を行いました。AI・人工知能EXPOは約300社が出展しており、非常に多くの来場者がありました。4月10日に総理大臣官邸を訪ねたOpen AIのサム・アルトマンCEOが率いる生成AI、ChatGPTはEXPOの展示製品・サービスにも多数組み込まれていました。GoogleもBardをリリースするなど、生成AIは黎明期にして大きな注目を集めています。3-1.生成AIを区政に活用することについて、現時点で区が検討していることをまず伺います。
見学してきたサービスのうち、区政で活用できるイメージを持つことができたものについて、活用を提案する観点で数点伺います。
AIに動画や音声を読み込ませることによる文字起こしについて、無償で使えるサービスが複数出てきており、私も動画を発信する際などにかねてより活用していますが、ChatGPTの登場により、AIで文字起こしした文章をChatGPTが要約、翻訳、ToDoの抽出などができるサービスが出現してきており、長野県、滋賀県、藤沢市など、250以上の自治体で正式に導入されているということです。区庁舎内で行われる各種会議では、録音した音声を聞き取って職員が文字起こしし、議事録を作成し、必要な場合には要約を行って情報共有する場面が膨大にあると思います。3-2.公文書管理の観点でお尋ねしますが、区の会議体のうち、議事録を作成するもの、要約を作るものをどのようにルール化しているか確認します。3-3.庁内会議の情報共有効率化の観点から、杉並区でもAI文字起こしのサービスを本格的に活用してはと考えます。区の見解を伺います。
また、このサービスでは文字起こしがリアルタイムに行えることから、窓口対応等における文字での情報保障にも活用できるようです。今年3月に公布された3-4.杉並区手話言語条例では、「手話に対する理解の促進及び手話の普及並びに音声言語と対等に使用することができる環境の構築」を基本理念としていますが、AI文字起こしによる情報保障の拡充について、区の見解を伺います。3-5.さらに、文字起こししたものを翻訳することで、外国語の文字による情報保障も可能となりますが、非日本語話者に対する情報保障の観点で、AIで文字起こしした情報をリアルタイムで翻訳する技術を活用することについても、見解を伺います。
会議体における生産性向上の観点で、3-6.学校運営協議会や学校支援本部・PTAなど、学校運営を支える組織でも活用できるものと考えますが、このことについて区教委の見解を伺います。
紹介した文字起こしのように、AIが稼働していることが視覚的に認識できる技術だけでなく、レガシーな技術の裏側でAIが活躍している、というシステムも増えてきました。フロントがレガシー技術であることによって、多くの区民がAIの恩恵にあずかることができ、またレガシー技術の限界を突破することがAIによって可能となります。
電話というレガシー技術の裏側にAIを活用するサービスがあり、電話から入ってきた声をテキスト化し、文字起こし、意図の解釈、回答文の作成、音声合成によって音声で返す、ということが可能となっています。この技術を区政に活用するにあたり、たとえば土木事務所に対して街路灯の球切れ連絡をする際、球切れに気がつきやすい夜間などの暗い時間帯は土木事務所の電話受付時間外であることがほとんどですが、AIによる電話応答技術を活用することで、終業後の球切れ連絡を翌日の業務開始後に確認し、対応するということが可能になります。またこれから出水期を迎えるにあたり、台風襲来によって川の増水が懸念される時の土嚢要請や避難所開設状況の問合せなど、同時多発的に寄せられる連絡に対しても、電話の対応をAIに任せることで職員が本来業務に集中でき、その上で具体的な要望を把握、対応することも可能になります。令和4年第3回定例会の一般質問では、My City Reportを区道でも活用することも提案していますが、区民の生命と財産を守る観点からは、デジタルデバイドのないデジタル技術の活用がより有効と考えます。3-7.街路灯の球切れや道路補修要望、土嚢要請などの災害対応について、AIによる電話応答技術を活用することを提案しますが、このことについて区の見解を求めます。
学校における体育や部活動など、スポーツ練習の支援にもAIを活用したサービスが出てきています。プロスポーツ選手のフォームなどを動画で学ぶだけでなく、自分を撮影した動画とプロスポーツ選手の動画をAI骨格解析によって重ねて比較することが無料でできるというものです。中学校の体育でダンスが必修化されて10年が経ちましたが、子どもの頃に授業の中でダンスを教わることのなかった先生にとって、指導に難しさがあるということも聞きますし、球技の授業の際にどうしても発生する待ち時間の際に、いい見本を見ることができることは指導上のメリットになると考えます。現時点でiOSによる対応になるため、学校に配置されているタブレットPCをそのまま使うことはできませんが、このような3-8.AIやデジタル技術を学校の体育の授業で活用することについて、区教委の見解を伺います。
この項の最後に、一点伺います。先ほども触れた、Googleの生成AI「Bard」に、「杉並区のAI活用について、今後の展望を教えて下さい。」と質問したところ、以下のような回答がありました。
杉並区は、AIを活用した「スマートシティ」の実現を目指しています。具体的には、
交通:AIを活用した交通渋滞の解消や、公共交通機関の効率化。
防災:AIを活用した防災対策の強化や、災害時の避難誘導。
教育:AIを活用した個別最適化された教育の提供。
福祉:AIを活用した介護サービスの効率化や、高齢者の見守り。
地域振興:AIを活用した観光サービスの向上や、地域の活性化。
杉並区は、これらの分野でAIを活用することで、区民の生活の質の向上や、持続可能なまちづくりを実現することを目指しています。(中略)杉並区は、今後もAIを積極的に活用し、「スマートシティ」の実現を目指していきます。
これまで区が発信してきたAIの活用イメージに対し、とても前向きな見解をBardが示したことになると思いますが、3-9.Bardが示した杉並区のAI活用における今後の展望について、杉並区としてどのように捉えているか見解を伺い、次の項に移ります。
- 防災について
今年の9月1日で関東大震災から100年が経過することとなり、私もその日に40歳になりますが、近ごろ大きな地震が頻発しており、区民からも不安の声が高まっているように感じています。政府の地震調査委員会が2022年1月に公表した南海トラフ巨大地震の40年以内発生確率が90%、マグニチュード7程度の首都直下地震の30年以内の発生確率が70%程度とされており、防災については不断の取組を進めていくことが重要であると思いつつ、100年前の災害に思いを致しながら、一層の取組推進の一年にしていきたいと考えています。4-1.今年度、地震対策としてどのような事業を行うか、まず伺います。
区ホームページ「日ごろの備え・耐震・不燃化」欄、地域の助け合いという項目の筆頭に「消防団・防災市民組織の活動」が記載されています。4-2.区は消防団の重要性をどのように認識しているか、伺います。ページには、消防団への加入勧奨の文言があり、問合せ先として杉並・荻窪両消防署の電話番号と、総務省消防庁ホームページへのリンクがあります。消防庁のページを見ると、こちらでは電話に加えメールでの問い合わせも促されており、杉並・荻窪両消防団のメールアドレスが掲載されています。4-3.消防団員を増やす取組として、区がこれまで行ってきたことを確認し、4-4.今後より消防団への加入を促進するために、区のホームページにも、消防団のメールアドレスを記載し、また入団を希望する際にメールに記載するべき情報を明記してはと提案しますが、区の見解を伺います。
区が消防団に対する活動支援として行っていることの一つに、消防団の操法大会訓練の場所提供があります。荻窪消防団の4つの分団が訓練に使用しているのが、旧杉並中継所、仮称井草防災拠点です。
令和3年予算特別委員会総務財政分科会で、私が仮称井草防災拠点について取り上げた際、災害拠点倉庫の暫定利用開始とともに、地域内輸送拠点としての指定、重機の保管、本庁代替施設の検討について当時の防災課長から言及がありました。それを受け、荻窪消防団の操法訓練の練習場所としての利用はいつまで可能か質問し、「暫定利用期間中は」訓練利用可能と答弁がありました。4-5.井草防災拠点における災害拠点倉庫機能は暫定利用なのか、本格開始なのか、現時点での位置づけを確認します。また、5月18日の19時半から21時過ぎまでの現地には、4-6.重機の停車位置として引かれている白線に対して垂直に、白線をまたぐ状態で都外ナンバーの乗用車が停車されていましたが、白線の内側は重機以外を停めることも可能としているのか、見解を伺います。
荻窪消防団の消防操法大会は6月4日に行われる予定で、消防団の訓練も佳境に差し掛かっていますが、昨年まで訓練していた立ち位置で操作開始すると、保管されている重機と非常に距離が近く、訓練の障害になっているという指摘をこの間消防団の方から重ねて受けています。仮に訓練中に事故があり、4-7.重機と衝突して消防団員が負傷した場合、重機を破損した場合のそれぞれについて、賠償責任は重機の保管者、区、東京消防庁、消防団員の誰が負うのか、見解を伺います。区にも調整いただき、走路南側に設置されていた車止めを撤去していただいたことで、従前の位置よりも南にずれて訓練できるようにはなりましたが、その位置で訓練しても、可搬ポンプの位置から第二火点を見る時に重機に遮られていて目視しにくい、という新たな課題が提起されています。
この重機は発災時に迅速かつ確実に道路啓開を行うことを目的とした「災害時における障害物の除去に関する協定」に基づき設置されているものです。操法大会までの間、重機を別の場所に一時的に移設してほしい、という要望もありましたが、区が協定を持ち掛けた経緯から、そのような要望を出すことは難しいという回答でした。白線の内側でもなるべく壁に寄せた場所に重機を停めることを掲示物で促してほしい、という要望もありましたが、現地で確認したところそのような掲示物は貼られていませんでした。これら一連の現地の状況と区の対応は、地域の安心・安全を担うとして訓練に精勤してきた消防団員にとっては落胆するものでした。4-8.本協定の締結にあたり、消防団からの要望を伝えることもできないような力関係になってしまった理由について、区の見解を求めます。
令和3年予算特別委員会総務財政分科会では、井草防災拠点の平時の有効活用に向け、練習場所の移転が必要となることを前提に、移転先はどこを検討しているかという質問もしましたが、「本格活用後も、その本格活用時の平常時の使い方によっては、現状のまま使える可能性もある」という答弁でした。先ほど騒音・煩音について取り上げましたが、井草防災拠点の新青梅街道向かいに大規模な分譲マンションが建設され、案の定夜間の訓練中の発声等について苦情がありました。今年の訓練においては時間を短縮して対応していますが、消防団員の多くは仕事を切り上げて訓練に参集しており、さらに訓練時間を繰り上げて行うのは生業(なりわい)に対する影響が過大であるという事情があります。騒音問題として消防団側で対策を行うことにするのであれば、本格活用時の平常時の使い方にかかわらず、4-9.やはり訓練場所の移転が必要になると考えますが、このことに関する区の見解を求め、また4-10.訓練場所の移転先候補として検討している場所があればお示しください。
井草防災拠点の平時の活用方法について、サウンディング調査の結果、案として出てきており、先の予算特別委員会でも他会派の議員から提案があった4-11.スケートボード場について、この間私も多くの設置要望を受けてきましたが、この案の検討状況について改めて確認します。スケートボード場とするのか、他の役割を持たせるのかについて検討する必要性を認めつつも、有効活用の方法を模索している間は有効活用されていない、という視点に立ち、時間軸を持って検討し意思決定することは重要です。4-12.井草防災拠点の平時の活用方法について、いつまでに意思決定するかを明確に決めることを求めますが、このことについて見解を伺い、次の質問に移ります。
- ふるさと納税について
ふるさと納税について、区はこれまで地方税制度の根幹にかかわる問題を抱えているという姿勢で、返礼品競争に加わらないという立場を維持してきました。2017年には「住民税が流出しています」と大書したチラシを作成し、区民にふるさと納税をしないように「お願い」する施策まで行ったにもかかわらず、ふるさと納税による減収額は年々増加の一途を辿っており、令和4年度は40億円余の減収とされています。
今年1月に全国若手議員の会の研修がありました。魅力的な返礼品を開発し、ふるさと納税による歳入増を実現した実績を講演した、当時の市長候補予定者の講師に対し、私から「市をふるさとと呼べるような関係性、居住歴などがある方からの寄附であれば施策の成果も理解できるが、関係性のない方に返礼品を評価されて寄附を集めるのは納税額を上限としたネットショッピングと何が違うのか」と質問したところ、「全ての寄附者がふるさとと呼べる関係者であると認識している」という回答でした。わだかまりは残りましたが、地方都市のスタンスがここにあるのであれば、区民へのお願いによって財源の流出を止めることが困難であることを改めて認識しました。
返礼の「品」で競争しない、ということであれば、渋谷区が行っている地域通貨「ハチペイ」のポイントで返礼する取組を参考にすることができるかと思います。地域通貨については、杉並区議会でも過去に話題になったものと認識していますが、5-1.杉並区におけるデジタル技術を活用した地域通貨の発行について、現時点での見解を伺います。あわせて、5-2.昨年度から今年度にかけて行われた電子、紙それぞれのプレミアム付商品券事業に対する現時点での評価を確認し、それらと比較した際の地域通貨のメリットとデメリットをどのように評価しているか、見解を求めます。
「住民税が流出しています」のチラシについて、区民から批判的な声が集まっていると紹介しているウェブの記事には、このような記載があります。
「杉並のラーメンを出すとか努力しろ」といった意見があった。担当者も区の努力が足りないと指摘されたことについては、「確かに目玉がないので、太刀打ちできないのは正直なところあります」とは認めた。
当時の担当者は、杉並区として「目玉」となる返礼品が用意できない、という見解を持っていたようですが、私は別の意見です。杉並区内に集積しているアニメーション企業が創造する作品は、杉並にとどまらず日本を代表する輸出コンテンツであり、今や日本国の魅力を形成する重要なコンテンツとなっている、と認識しています。「杉並のふるさと納税」というパンフレットを見ると、アニメ関連の返礼品は用意されていません。寄附メニューはモノでなくコト、といった記載も見受けられますが、5-3.アニメ関連でコトのメニューを作る検討はこれまでしてこなかったのか、見解を伺います。
杉並区と同じく、ふるさと納税の制度を批判し、返礼品競争と距離を取ってきた世田谷区は、令和4年度のふるさと納税による減収額が87億円にのぼったことなどを受け、方針を転換しました。世田谷区長は「区としてできるだけのことをして寄付をいただく」と2月の記者会見で説明し、ふるさと納税の特設サイトを開き、焼き菓子の詰め合わせや高級ホテルの宿泊券など約100品を用意しているということです。苦渋の決断になることを承知で伺いますが、5-4.杉並区も返礼品競争に参加し、ふるさと納税による歳入増を目指す必要があるのではないでしょうか。区長の見解を伺い、質問を終わります。
●主な前向き答弁
・子どもセンターのロゴフォーム予約が近日開始となる見込み
・杉並保健所内乳幼児室が10月以降再開
・煩音についての周知を検討し、断熱を目的とした内窓設置等の助成事業で防音効果もアピールする
・AI文字起こしサービスは効果的に活用できる要件を整理し活用を検討
・聴覚障害者、非日本語話者への情報保障や、学校運営協議会等での活用についても前向きに検討
・施設の有効活用の観点から、期限を定めて検討していくことは大変に重要
●今後の論点になっていく答弁
・区民間で利害が衝突していても、一部の場合を除き区が直接介入することは適当ではない
・生成AIや新たなデジタル技術の活用のあり方は慎重に研究
・複雑な問い合わせに対してAIが正確に対応できない→人間(職員)と比較して劣位なのか?
・ふるさと納税の返礼品競争には参加しないが、寄附メニューの拡充に努める