9月11日の一般質問について(質問全文)

9月11日、令和5年第3回定例会の本会議で一般質問を行いました。

 

1.区長の政治姿勢について
(1)「維新の『改革』にノーを示したい」なる区長の発言について
(2)相馬野馬追について

2.義務教育保護者負担軽減のあり方について
(1)学校給食費
(2)被服等にかかる費用
(3)習い事にかかる費用
(4)代替策等について

3.荻窪の区立施設について

 

 

以下に質問の全文を掲載します。

 

杉並維新の会の松本みつひろです。通告に従い、区長の政治姿勢について、義務教育保護者負担軽減のあり方について、荻窪の区立施設について質問します。

 

  • 区長の政治姿勢について

(1)「維新の『改革』にノーを示したい」なる区長の発言について

日本共産党東京都委員会のホームページに7月31日に掲載された、「自治体学校in岡山 東京・杉並 岸本区長の講演」という記事を確認しました。「政治は地域から」「公共を取り戻す」といった区長の従前からの持論が展開され、個人宅や公共施設の断熱の重要性について語ったうえで、話が突然飛躍します。気分がいいものではありませんが、通告した9月4日時点の該当部分の記載を引用いたします。

「新自由主義、さらには維新的な「身を切る改革」にノーを示さなければと思います。ここは正念場。杉並で投票率が上がり革新的な勢力が議席を増やす一方、維新のような勢力も何人もいます。今の保守政権よりさらに右寄りな維新の「改革」にノーを示したい。」

この講演会には杉並区長として参加しているものと承知していますが、杉並区議会で「身を切る改革」という単語が出たのは4年前の令和元年5月31日、私の初めての一般質問まで遡ります。「身を切る改革」について区議会で一度たりとも議論したことがない杉並区長が、「維新的な身を切る改革」についてどのような理解をしているのか大変疑問があります。1-1-1.区長の考える維新的な身を切る改革について、区長自身の見解を求めます。「維新のような勢力も何人もいます」ということですが、1-1-2.維新のような勢力と指しているのは私と鈴木ちづる議員を含め何名のことを指しているのか、またこの一文の意味を岸本区長に問います。「今の保守政権よりさらに右寄り」とありますが、1-1-3.区長が言う「右」とは一体どのようなコンセプトを指していて、その上で1-1-4.「右寄りな維新の改革」のどういったところにノーを示すべきと考えているか、区長の見解を求めるものです。そもそも、杉並区長の肩書で、区議会にも存在する特定の政治勢力とその政策を区外で公然と侮辱すること自体について、杉並区民の一人として、また維新の2候補に投票して下さった約1万人の有権者を代表して抗議するものです。1-1-5.政治的な発言をする講演会には、杉並区長としてではなく、今後は政治活動家として、また思想信条が近しい政党の党籍を取得した上で党員として参加することを求めますが、区長の見解を求めます1-1-6.区長は「正義」という言葉にこだわりを持って使っているようですが、岡山で行われた講演会で杉並区議会に維新のような勢力がいて、今が正念場で、ノーを突きつけたいと発言することのどこに正義があるのか、区長の見解を問います。私としては、大変陰湿で下劣なやり方であると非難します。また、二元代表制の一方側がもう一方の議会を分断するような発言を、今回だけでなくこの一年間何度も繰り返していることについて、議会としても厳然たる対応が必要ではないかと問題提起するものです。

⇒主な答弁

・新聞記事によって不快な思いをさせたことにお詫び申し上げる

・実際の趣旨とは異なる形で掲載され遺憾。しんぶん赤旗に抗議と記事訂正を申し入れた

・「維新のような勢力」について、杉並区議会を指して述べたつもりはないが、文脈上誤解を招く表現となってしまい率直にお詫び申し上げる

・「維新の改革にNOを示したい」について、「平和と持続可能な社会を望むなら、今の社会をしっかりと見て、何に対しNOなのかをはっきりさせた上で何が良いと思うのか具体的なYESを持つべき」との考えを持っており、自分の信条を述べたことが正義に反するとは考えていない

(2)相馬野馬追について

次に、相馬野馬追について伺います。7月29日から31日の三日間、交流自治体である福島県南相馬市で相馬野馬追が行われました。市ホームページのトップ画像に用いられている、南相馬市を代表するお祭りであり、特に中日(なかび)の30日に行われる甲冑競馬、神旗争奪戦は相馬野馬追の見どころとされ、今年も多くの観客が押し寄せたと聞いているところです。前の区長は例年相馬野馬追の時期に南相馬市を訪問し、相馬野馬追を観覧していたように記憶していますが、1-2-1.今年は南相馬市から区長に対する招待がなかったのか、確認します。交流自治体から自治体を代表するイベントに招待があった場合、交通費や宿泊費等をこれまで公費から支出していたのであれば公務として対応していたものと思われますが、1-2-2.招待を受けて相馬野馬追を観覧することは公務にあたるのか、私的行為なのか、区の見解を伺います1-2-3.正当な理由なく公務にあたらず、公務の時間帯に私的行為を行うことについて、職員がこれを行った場合にはどのような処分等が行われるのか、見解を伺います

 

X(当時のTwitter)の岸本聡子オフィス広報というアカウントから、「ソシアルサトコズ(岸本聡子後援会)では7月30日に報告を兼ねたイベントを行います」という発信がありました。1-2-4.このイベントは7月30日に実施されたのか、確認します。またSNS上には、中心部に「デモ」と書かれたヘルメットをかぶり、満面の笑みをたたえる区長の写真が出回っています。1-2-5.これは7月30日の同イベントの時のものか、確認します。職員に適用される規程等が区長に適用されるわけではないことは承知していますが、職員の長として一定の紀律ある行動を求める区民が大変多くいらっしゃることも事実です。1-2-6.交流自治体からのイベント招待を断り、その日に自分の政治団体のイベントを満喫することの区長としての道義的責任について、所見を伺い、次の項に移ります。

⇒主な答弁

・南相馬市から招待を受けていたが、開催前日の夜に区内のイベントに出席した。野馬追は昨年出席したが当該イベントは4年ぶりだったので区内イベントを優先。翌日朝から開催される野馬追は当日の移動が困難でやむなく欠席した

・ソシアルサトコズが主催した区政に関する報告会は、7月30日の日程が空いたので同日に開催した。指摘の写真は当該イベント時のもの

 

  • 義務教育保護者負担軽減のあり方について

(1)学校給食費

7月12日、区長就任一年を迎えての記者会見冒頭、区長は10月から区立小中学校における給食費無償化を実施するために必要な経費を本定例会の補正予算案に計上することを表明しました。公約の進捗状況が記者会見の趣旨とはいえ、2-1-1.補正予算案そのものを示す前に、記者会見で補正予算案に計上予定の新規事業、とりわけ自主財源を用いて行う事業に言及したことは異例のことと思います。意図を確認します

 

本定例会の補正予算案に計上された学校給食費無償化は、10月から3月までの半年間に限定し、前年度の決算剰余金である繰越金を財源に実施することが提案されているものです。私は昨年9月15日の区議会第三回定例会の一般質問の中で、財政調整基金を取り崩して時限的に行う学校給食費無償化には賛同できない旨申し上げておりました。補正予算案における学校給食費無償化については、補正予算の議案が付託される委員会の中で議論させていただき、この場では総論的に、義務教育負担軽減のあり方検討委員会の検討報告書の検討結果を参照しつつ、学校給食費を無償化する政策にかかる論点について、数点伺ってまいります。

 

5月29日に、杉並区立学校における義務教育保護者負担軽減のあり方検討委員会の検討報告書(以下「報告書」と呼びます)が公表されました。私は昨年9月15日の区議会第三回定例会の一般質問の中で、「給食費の無償化は、学齢期の子育て世帯に対する家計負担軽減のための施策として恒久的に実施するべき」「給食費無償化が時限的な施策ではなく、これから生まれてくる子供についても給食費が無償化されていることがある程度担保された場合には、出生意欲に対してポジティブな影響を与え、少子化の改善にもつながり得る」ことを主張しました。学校給食費無償化という政策の政策目的について、基礎自治体が行う少子化対策の一つと考え提案したものでありますが、区長からは目的について「様々な状況に置かれている児童生徒が均等な教育が受けられるようにするため」と答弁があり、同じ頂を目指している一方で理由が大きく違う旨、再質問の際に申し上げました。

報告書を確認すると、「1 はじめに」の項の書き出しが、昨年9月の一般質問の際に私が引用した「理想の数の子どもを持たない理由」の紹介となっており、また結論の記載とある「10 教育委員会として望ましいと考える支援策」も、「少子化対策の基本となるのは、社会全体で子育てを支えるという視点に立って施策を進めていくこと」と書き出した上で学校給食費無償化という結論を導き出しています。これらの考察の結果、杉並区として実施したいと考えている学校給食費無償化の政策目的が、「様々な状況に置かれている児童生徒が均等な教育が受けられるようにするため」から、私が提案した少子化対策へと転換しているのではないかと考えています。2-1-2.学校給食費無償化という政策の目的について、現時点での区の見解を求めます

⇒主な答弁

・学校給食費の無償化は選挙公約で、区長就任後一年が経過した7月の記者会見で他の公約の取組状況と共に言及した。経緯としては、5月に教育委員会の検討委員会報告で「学校給食費の無償化が望ましい支援策の候補である」と言及、6月には国の「こども未来戦略方針」で無償化の実施に向けた道筋が済めされた。他区では19区が実施済みまたは実施する方針を表明、決算剰余金の活用という財源確保の目途も立ったため、関心の高い保護者に早期に知らせるために会見で述べた

・学校給食費無償化の目的は、少子化が加速する中、子育てを社会全体で支えることが重要であるとの視点に立ち、物価高騰による厳しい社会経済情勢も踏まえ、子育てにおける経済的負担の軽減を図ること

 

報告書の「11 最後に」には、「給食費無償化の実現のために、大幅な事業の見直し等による財源の確保が必要」「教育委員会事務局だけでは、その削減額・削減範囲にも限界があるため、区を挙げて予算の精査、見直しを図る」という記載があります。この点についても、昨年9月の一般質問で「給食費を恒久的に無償化していくためには、行財政改革によって財源を生み出」すことが重要である旨指摘しており、この考え方と軌を一にするものとして評価しています。報告書のこの記載について、2-1-3.財政当局としてはどのように受け止めているか見解を求め、また2-1-4.令和6年度予算編成に関する基本方針やその他予算編成上の留意事項として、マイナスシーリング等具体的な歳出削減の取組を指示しているか、確認します。シーリングの手法として、東京都が7月28日に発表した「『未来の東京』の実現に向けた重点政策方針2023」では、事業実績が目標を大きく下回る事業は、マイナス10%のシーリングをかけることを求めるとしています。今定例会では令和4年度の決算審査も行われる予定ですが、チェックした事業実績を次期予算策定に生かすこの考え方は重要と考えます。2-1-5.都の考え方を参考に、一定の条件に該当する事業にマイナスシーリングをかけることについて、区の見解を求めます

⇒主な答弁

・実施にあたっての財源確保については、教育委員会に留まらず、区を挙げて事業等の精査・見直しを図ることで対応することが必要

・平成12年度当初予算編成時にマイナスシーリングを設定したことがあったが、要求段階で上限が決められてしまうため、社会情勢の実情にあわせた必要な事業の要求ができない、また上限内であれば不要な事業であっても見直されないという弊害が危惧される

 

(2)被服等にかかる費用

報告書は区立小中学校の児童生徒の保護者宛アンケート結果から得られた知見を基に作成されています。教育費の負担を感じる経費については、学校給食費と回答した保護者が21%に対し、習い事にかかる費用が86%、被服等にかかる費用が33%となっており、給食費無償化を実施するにあたり、これらに対する負担軽減の施策も同様かそれ以上に求められているところです。被服等にかかる費用については、令和4年予算特別委員において、区立学校の入学説明会で配布された資料を用いて標準服や体操服の価格について質疑を展開しています。「生徒たちの同調圧力を利用して家計に負担を強い、また就学援助を通じて税財源から割高な被服を購入している」という私の指摘に対し、「購入先を指定するものではない」「家庭の判断で購入先を選択できる」旨答弁がありました。2-2-1.このことは学校内で適切に周知されているのか、区教委の見解を伺います2-2-2.今回のアンケート調査結果を踏まえれば、家庭等の判断で学校生活に必要な被服をどこから購入してもよいことを学校が積極的に周知していくことをまず始めるべきと考えます。見解を求めます

⇒答弁

新入生保護者会や学校説明会で標準服や体育着について説明し、実物や写真を見せて色や形の見本を示し、同様のものを各家庭で用意するように伝えているが、メーカーや限定していない。販売店を紹介することはあるが、購入先は各家庭の判断で良いと説明している。改めて校長会で周知する。

 

(3)習い事にかかる費用

アンケートの結果、負担を感じている保護者が最も多かった習い事にかかる費用について、課題解決となる先行事例として、大阪市が平成24年に試行実施、平成25年12月から全区展開している習い事・塾代助成事業があります。子育て世帯の経済的負担を軽減するとともに、こどもたちの学力や学習意欲、個性や才能を伸ばす機会を提供するため、学習塾や家庭教師、文化・スポーツ教室などにかかる費用を、月額 1 万円を上限に助成するものです。令和3年度に同事業を利用した中学生は18,296人であり、申請主義の事業でありながら、対象となる方の60.7%が活用しているということです。助成事業で利用可能な登録事業者は、令和5年1月時点で学習塾が2,076、スポーツ教室が472など合計3,399事業者となっており、事業を利用している保護者の70.4%が成績が良くなった、65.6%が子どもの学習意欲が向上したと回答しています。事業目的である「こどもたちの学力や学習意欲、個性や才能を伸ばす機会を提供」できているのではないかと考えていますが、2-3-1.杉並区として大阪市で行われている習い事・塾代事業をどのように評価しているか、見解を伺います。また大阪市では同事業に設定されている所得制限を撤廃することを、9月8日に市長記者会見の中で発表しました。所得制限についても、昨年9月の一般質問の中で話題としていますが、当時の政策経営部長の答弁では、「補助事業や助成事業を実施する際の利用者負担については、それぞれの事業の事業目的や政策効果を見定めながら制度設計を行うもの」「その中で所得制限を行うことが妥当かどうかの判断を個別具体的に行っていくべきもの」と答弁がありました。先の第2回定例会においても、「子どもにかかる助成制度からは所得制限を撤廃すべき」といった主張が聞かれるようになり、報告書の中でも、国の「こども・子育て政策の強化について(試案)」における児童手当所得制限撤廃方針や都が行う018サポートに所得制限がないことに言及しています。改めて、2-3-2.子ども・子育て・教育分野における所得制限の必要性について、またそれらの分野における所得制限撤廃について、区の見解を伺います

大阪市の習い事・塾代助成事業は、大阪市の長年にわたる行財政改革の成果によって生み出された財源を充てて行われているものでありますが、事業開始から所得制限を撤廃するまでに10年以上の時間を要するなど、行財政改革によって財源を生み出し、その財源によって事業を拡充していくことには多くの困難が伴います。2-3-3.杉並区で習い事・塾代助成事業を所得制限なしで実施する場合に必要となる財源額を確認し2-3-4.大きな財源を生み出す行財政改革の取組について、区のこれまでの主な取組と今後の計画を確認します

⇒主な答弁

・杉並区で習い事・塾代助成事業を所得制限なしで実施する場合の必要財源は23億1900万円余

・6月に国が発表した「こども未来戦略方針」に「若者・子育て世代の所得を伸ばさない限り、少子化を反転させることはできない」として、児童手当の大幅拡充、所得制限撤廃方針が示された

・少子化対策で子育て世帯の経済的負担を軽減していく方向性には区としても賛同するが、全ての所得制限を無条件に撤廃することを意味するものではない

・コスト削減や効率化を追求した「量の改革」に加え、利便性や暮らしやすさの追求、区民サービスの質をいかに高めていくかといった「量の改革」も重要であると認識。事務事業の見直し、行政内部のデジタル化、WLBの推進、生産性の向上、超過勤務の縮減などに取り組んでいる。今後は区政経営改革推進計画の改定をもって示すが、区民や地域団体等との会話を重ねていく方針。

 

(4)代替策等について

児童生徒一人あたり月1万円の助成を直ちに行うことは難しくても、ある程度の事業効果、つまりこどもたちの学力や学習意欲、個性や才能を伸ばす機会を一定程度提供することは、現実的に可能と考えています。スタディサプリは、個別最適な学びを講義動画と確認テスト・単元テストでサポートする学習支援ツールですが、個人学習での利用にとどまらず、公教育における課題解決にも多面的に取り組んでいます。新型コロナウイルス感染症のいわゆる第一波、小中学校が臨時休校した状態で年度明けを迎えた令和2年度に、どのように児童・生徒の学びを継続させていくか、という観点で、複数の区立学校からスタディサプリを利用したいという提案が教育委員会にあったように聞いていますが、2-4-1.この提案に対する当時の検討の経過についてお尋ねし2-4-2.現時点における区立学校での活用状況を確認します

習い事・塾代助成事業の代替的措置という文脈におけるスタディサプリの特徴として、コンテンツの無学年式があります。つまり、スタディサプリを利用している中学1年生は、中学1年生としてのコンテンツしか勉強できない、という制約がなく、小学校1年生から高校・大学受験レベルまで、自分の意欲と能力に応じた学びを得ることができます。無学年式の教材を与えることは紙の教科書では事実上不可能ですが、2-4-3.今後導入されていくデジタル教科書は無学年式で提供されるのか、現時点での区教委の見解を伺います。関連して、私が小学生の頃は、小学校で教わっておらず塾で習った手法を活用した答案は、答えがあっていても×にされクラスメイトの前で叱責されたものですが、2-4-4.現在の区立学校の学校の現場では、学校で教えていない方法で導き出された「正解」にどのように向き合い指導しているのか、確認します

子ども達の個性・特性をよく把握している教員が、スタディサプリを活用しながら個別最適化された学びを提供することは、学年の授業に後れを取りつつある児童生徒の戻り学習だけでなく、学力が高いために学校の授業に物足りなさを感じている、いわゆる吹きこぼれ層に対する学習支援の施策として重要であると考えます。2-4-5.現時点で取り組んでいる吹きこぼれ層対策について確認し2-4-6.無学年式の教材を活用した吹きこぼれ層の学習支援を行うことについて、区教委の見解を伺います

 

大阪市で行われている習い事・塾代助成事業は、学習塾だけでなくスポーツ教室や文化芸術教室などを対象とした、幅広い個性や才能の涵養に結びつくものであり、杉並区においても徹底した行財政改革によって財源を生み出し、その果実によって将来実施していくべきものと考えています。その未来に向けたファーストステップとして、全校で導入した場合、児童生徒一人あたり年額3,000円という予算で、一流講師が子ども達の学びたい意欲を刺激しながら展開する動画教材によって、意欲と能力に応じた学びを提供できるスタディサプリの活用は、塾代助成事業の事業の効果を一定程度代替する手段として有効ではないかと考えています。2-4-7.習い事のうち学習塾にかかる費用負担の軽減と、こどもたちの学力や学習意欲、個性や才能を伸ばす機会を提供する手法として、教育委員会がスタディサプリ等の無学年式の教育ソフトを全校導入することを提案しますが、このことについて見解をお尋ねします

 

スタディサプリでは中学校において教科書準拠を完成させ、そのことによって中学校で反転授業を実施する素地が整ったものと認識しています。2-4-8.反転授業のメリットとデメリットを区教委はどのように整理しているか伺い2-4-9.スタディサプリ等、教科書準拠した動画教材を活用した区立中学校における反転授業の実施について、見解を求めます

⇒主な答弁

・吹きこぼれ層には習熟度別に分かれて学ぶ、発展的な課題に取り組むなど個に応じた指導を工夫している

・無学年式のデジタル教材は、学年を超えて自分のペースで学習を進められ、苦手な内容の復習が可能となることから、価値について認識している

・スタディサプリ等のデジタル教材を一律に全校導入することは考えていないが、学校状況等も把握しながら導入方法等について検討する

・反転授業は児童生徒が自らの興味・関心やペースに合わせて学習に取り組めるメリットがあり、授業内容のより一層の理解が期待できる一方、授業以外の時間に自ら学ぶことが必要なため、生活環境や本人の学び方によって学習内容が十分に定着しない課題がある。反転授業の可能性については研究していく

 

デジタル教材を活用した学びの構造転換の関連で、プログラミング教材についても伺います。2025年からの大学入学共通テストの再編に際し、「情報」が科目として新設されることとなり、それを受けて昨年度から高校の普通科で「情報Ⅰ(いち)」が必履修科目となりました。その結果、高校ではPython(パイソン)やSwiftなどを使ったテキストコーディングを求められるようになり、これまで小学校でScratchなどビジュアルプログラミングにしか取り組む機会のなかった中学生が、中学校の3年間に技術の時間で習得しなくてはならない学習内容が膨大になっている、という現状認識をしています。2-4-10.中学校技術科の授業におけるプログラミング教育について、区教委の課題認識と指導体制について伺います。中学生までの間に学習することが求められるプログラミングが増えていることへの対策として、小学校でビジュアルプログラミングに取り組む時期を早めることは重要です。ポケモンを使ったプログラミング教材キットを一般財団法人が無償で提供しており、ホームページには天沼小学校の授業における活用事例が動画で紹介されていますが、ポケモンというコンテンツの魅力が子ども達の主体的で意欲的な学びを促していることがわかります。このような小学校におけるプログラミング教育についても、今後一層取組を加速することを要望します。

 

その上で、新学習指導要領への対応として2-4-11.高井戸、井草、中瀬の区内3中学校が導入しているLife is Tech Lessonについて、各校での活用状況を確認します。一般論として、デジタル教材の持つ価値の一つに、どの教員でも質の高い授業ができることがあると考えています。2-4-12.来年度、区として新学習指導要領への対応としてプログラミング教育についてどのような対応を行うか、またその2-4-13.対応策の一つとして同教材を中学校全校に導入することについて、区教委の見解を伺い、次の質問に移ります。

⇒主な答弁

・中学校のプログラミング教育は技術科の教員が指導。学習指導要領改訂により拡充されたことに伴い、教員の指導力を高めることが課題

・Life is Tech Lessonを全ての中学校に一律に導入するのではなく、学校の実態に応じて選択して活用することが適切

 

3.荻窪の区立施設について

令和6年11月から大規模改修工事を実施する予定となっている荻窪地域区民センターについて、地域課荻窪地域活動係と荻窪地域区民センター協議会が荻窪会議室に移転することとされていますが、諸室を使用している施設利用者に対して、大規模改修工事中の代替施設をホームページ等で明確に提示していない状況と承知しています。3-1.荻窪地域区民センターの大規模改修工事期間中の代替施設について、問合せがあった区民にどのように伝えているか、確認します

体育室や音楽室、工芸室といった特殊用途の諸室については、少し離れた他の集会施設を案内する対応も時限的なこととして許容されるものと思いつつ、集会室や和室などの多目的に活用される施設については、荻窪の南側地域として一定数を維持していただきたいと思っているところです。環八を挟んだ反対側の荻窪会議室にある集会室は2つで、荻窪地域区民センターの7集会室4和室の需要を吸収することは難しいと認識しています。

荻窪駅西口から連絡橋で直結されているマンションの2階部分に入っている、保育室荻窪第四は、今年度末をもって廃止され、跡地は貸主に返還するとされています。この場所は保育室の前はファミリーレストランが入っていて、当時私もマンション管理組合の役員会をその場所で開催するなどしていました。3-2.保育室荻窪第四の廃止後、区が引き続き賃借し、来年度上期から大規模改修工事完了までの期間、区の会議室として暫定利用することを提案しますが、このことについて区の見解を伺います

⇒主な答弁

・休館中の近隣施設の需要等を確認するために令和3年にアンケート調査を実施。利用状況や利用枠数を算出したところ、荻窪会議室での対応が十分可能、利用可能枠数が全体枠数の30%以上あることを確認しているので、他の施設を設ける考えはない

 

荻窪税務署は階段から屋上にかけての空間は区が国から賃借している区立公園、地下部も区が国から賃借している自転車駐車場となっており、地下の管理事務所は年末年始を除く毎日6時から20時まで受付対応していますが、荻窪だんだん公園は平日9時から17時までしか使えない状況になっています。そういった状況下でも、近隣の保育園児等が活用してくれていることを、地元の大人の一人として嬉しく思っています。荻窪だんだん公園の環境整備について、区は様子見対応を続けてきました。3-3.子ども達を中心とした利用者がこの公園で季節の移ろいを感じ取り、少しでも自然と触れ合う機会が提供できるよう、今年度中に少なくとも植栽の植え替えは行うべきと考えます。区の見解を伺います

また開園前の令和2年2月13日の一般質問で、荻窪だんだん公園への遊具設置について尋ねた際、当時の土木担当部長から「建物への影響が大きいことから設置は難しい」と答弁がありましたが、その後国際遊び場検査士機構・精密点検検査技師の方と知り合う機会があり、立体都市公園への遊具設置について尋ねたところ、設置できる可能性も十分にあるということでした。また、区民から公園について寄せられるニーズの中で最も多い球戯場の設置について、区外の百貨店などでは、屋上にテニスコートやフットサルコートを設けているケースがあり、立体都市公園をその用地とする可能性に注目しています。3-4.荻窪だんだん公園の立地特性や、屋上という空間のメリットを生かした立体都市公園の活用を提案しますが、区の見解を伺います

 

6月23日に国税庁が「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション-税務行政の将来像 2023-と題した資料を公表しました。国税庁のDXの取組として、納税者の利便性向上、課税・徴収事務の効率化・高度化等に加え、事業者のデジタル化促進を国税庁の取組の中に位置づけ、社会全体のDX推進に貢献する姿勢を鮮明に打ち出したものです。この資料全般がとても興味深いものですが、本日は荻窪に関連する内容について区に質問していきます。

 

課税・徴収事務の効率化・高度化等がもたらすメリットとして、紙資料が電子データ化することにより、紙資料の保管に要していたスペースを削減できることがあります。また同資料では内部事務のセンター化についても記載されています。荻窪税務署は現在業務センターを内在させていますが、全国524の税務署の内部事務がセンター化していくにあたり、荻窪税務署から内部事務が手離れすることは十分考えられます。7月に国税庁の職員と議論する機会をいただきましたが、税務行政のDX化はスペース創出を目的としたものではないものの、副次的にそういったことは当然に起こりうる、という認識が示されたところです。DX化によって国税庁が生み出した荻窪税務署内のスペースを賃借し、荻窪税務署の建物内に集会室等を持つ区立施設を改めて設けることができれば、荻窪だんだん公園の利用可能時間も拡張できうるものと考えます。3-5.杉並区としても、荻窪税務署のDX化やセンター化の動きについて国税庁ならびに荻窪税務署と綿密に情報交換し、機会を捉えて余剰スペースの活用方法を模索する動きを取っていただきたいと思いますが、このことについて見解を伺って質問を終わります。

⇒主な答弁

・自然に触れ合う場所が少ない荻窪駅周辺における貴重な公園。暑さが和らいだ10月頃に植栽の植え替えを行う

・改修の際は、自然と触れ合える公園を基本としつつ、荻窪駅近くの屋上にある公園という特性をより生かした公園となるよう努める

・国・都との連携による国有地の活用検討は重要な視点。荻窪税務署のDX化の動向を注視しつつ、情報収集、意見交換に努める

 

【再質問】

荻窪地域の集会施設についてです。提案した内容を実現する上でのハードルはあるかと思いますが、答弁ではそういった事情からではなく、7集会室4和室のニーズを荻窪会議室の2室で吸収できるという認識が示されましたが、その判断の根拠が理解できませんでした。稼働率が18%未満ということであれば計算上11室のニーズを2室で吸収できますが、令和元年度の荻窪地域区民センターの稼働率は全体が60%、集会室は特別室を除き47~65%、和室が36~53%でした。再度説明を求めるとともに、数的根拠に基づいた需要予測を行う必要があるのではないかと考えますので、このことについて見解を伺います。

⇒答弁

ダンスをする人が荻窪が取れなければ高井戸に行く、といったように部屋の仕様によって利用している人が多い。他の区民センターの休館中も他の施設を利用することで代替施設を設けずにお願いしている。近隣のところで使いたい方に使い方をアンケートしたところ、荻窪会議室を利用したい方が6%、高井戸30%、阿佐ヶ谷26%、西荻17.5%など他を使いたいという結果だった。荻窪地域区民センターは年間17,500枠、6%なので1,000くらいの荻窪会議室の枠がある。荻窪会議室には1,900枠ある。ご不便はおかけするが休館中は荻窪会議室を利用してもらい代替施設は設けない。