9月10日の一般質問について(質問全文、掲示資料、答弁要旨)
9月10日、令和6年第3回定例会で一般質問を行いました。
- NEXT GIGA端末について
(1)今年度の調達
(2)機能要件とOS- 公道移管について
- 学校給食費について
- 区内出身のオリンピック出場選手に関する区の対応について
<動画>
維新・無所属議員団の松本みつひろです。通告に従い、NEXTGIGA端末について、公道移管について、学校給食費について、区内出身のオリンピック出場選手に関する区の対応について質問します。
- NEXTGIGA端末について
- 今年度の調達
杉並区では令和2年度に約22,000台のタブレットPCを導入し、そのことによって一人一台タブレットを概ね配備しました。パソコンの法定耐用年数は4年ですが、国の方針策定やそれに対するメーカー側の対応状況などを踏まえた専門家並びに業界関係者との意見交換の中で、令和2年度導入端末の入れ替えは令和7年度と想定されており、私もそのように認識しておりました。そういった中、今年度12,000台の端末の調達をするということですが、この入れ替え対象は令和2年度に買い入れた端末か、それ以前から利用していたものか、確認します。
令和6年度予算、7款教育費、1項教育総務費、3目教育指導費の説明欄に、コンピュータ教育の推進9億96百万円余、学校ITの推進21億78百万円余と記載があります。令和5年度予算ではコンピュータ教育の推進7億61百万円、学校ITの推進17億3百万円余、令和4年度予算ではコンピュータ教育の推進6億39百万円、学校ITの推進15億86百万円となっています。コンピュータ教育の推進と学校ITの推進は、予算計上等にあたってどういった区分で仕分けているのか、また令和6年度予算について、その具体的な内訳を明らかにして下さい。
→令和2年度にリースで配備した2,760台と、令和2年度に購入したうち9,240台を入れ替え、リースで12,000台を配備する。児童・生徒用端末の運用やネットワーク機器保守などはコンピュータ教育の推進、ICT支援員委託やICT環境整備は学校ITの推進。
5月のEDIXの展示でも、NEXT GIGA端末は多くアピールされていましたが、私が見た限りでは全ての端末がこれまでのものに比較して重くなっており、展示社の説明員は一様に「故障対策として厚みのあるカバーをつけた結果」と説明していました。故障対策の必要性は認識していますが、その結果持ち運ぶには相当に重たいものになっています。NEXT GIGA端末について、持ち帰りを含む活用を行うのか、見解を伺います。また今年度区が調達する予定の端末の重さは付属品を含め何gか、確認します。
小学校一年生の平均体重は23kg程度とされていますが、ランドセルの重量問題に詳しい大正大の白土健教授によると、成長過程の身体への影響を考慮すると、子どもが背負う荷物の適正重量は体重に対して10%程度、重くとも15%以下に留めることが望ましいとのことです。「ランドセル症候群」とは何か、改めて説明を求めます。先日、来年から小学生になる息子たちのランドセルを購入しましたが、最軽量モデルと謳われているもので890g、素材やデザイン性にこだわったもので1,500gを上回るランドセルも人気を博しています。体重23kgの小学校一年生が背負う荷物の適正な重量である2.3kgは、最軽量モデルのランドセルにNEXT GIGAタブレットを入れただけで超えてしまいますが、ランドセルにタブレットだけを入れて登校すれば問題なく学習できる、教育DX環境の整備に向けた進捗状況について確認します。また一般的な日の持ち物として他にどのようなものを小学生は学校まで持ち運ぶ必要があるのか、事例として桃井第二小学校の1年1組の児童が、9月3日に登校する際の持ち物とその重さ、その重さの23kgに対する割合をお示し下さい。またランドセルの重さの解決をその一つの目的とする、デジタル教科書の導入について、今後の展望を伺います。
→タブレットのみだと590g、キーボード含め1,097g。持ち帰り活用は引き続き行う。ランドセル症候群は「自分の身体に合わない重さや大きさのランドセルを背負ったまま長時間通学することによるココロとカラダの不調を表す」もの。最も持ち物が多かった児童で、筆箱、連絡帳、水筒、国語と算数の教科書、道具箱、図画工作マット、体育着、夏休み中に借りた図書3冊、ランチョンマット、エプロンセットで5.3kg。1年生と平均体重23kgに対する割合は23%。デジタル教科書は令和6年度英語を小5〜中3まで全校配布、算数・数学のデジタル教科書を約半数校に配布。今後は国の動向を踏まえ効果検証を進めながら検討。
重すぎるランドセル問題については、過去にも議会で話題となっています。こどもの負担軽減に努めてこられた区教委としても、タブレットが重くなることについては苦渋の決断だったのだろうと思っています。タブレットを使った学習の有効性を認め活用を推進していきながら、重すぎるランドセルから児童・生徒を守るためには、低学年を中心に学校から重いタブレットを持ち帰らせず、家庭の余剰端末や、自宅に余剰端末がない家庭には端末を貸与する等して、学校で使うものと別の端末を活用した自宅学習を認める他ないのではないかと思います。現時点で区教委は、貸与しているタブレットPC以外から、学習用アプリやTeams等にアクセスすることを認めているか、伺います。
一人一台タブレットが展開された当初、この端末のリプレイスの際には国庫補助がない可能性を考え、区の一般財源で4〜5年に一度の端末購入は難しいのでBYOD化も視野に入るのでは、という議論がありました。NEXTGIGA端末にも国庫補助が出ることになり、世帯で購入した端末を学校に持ち込むという意味でのBYOD化の必要はなくなりましたが、自宅で学習する別端末を用意するという意味におけるCYOD、Choose Your Own Deviceを実施した場合、端末のスペック差が学びの差につながりうることについて、区教委は懸念を持っているか、見解を伺います。家庭の経済的状況、教育に対する考え方、端末に対する投資対効果の考え方などの差が、公立学校における学びの差になることは、こどもの可能性を最大化する観点で肯定することなのか、競争環境の前提が不公平であることを捉えて否定するべきことなのか。否定すべきこととしても、家庭で用意する端末を低いスペックで縛るということには、私を含め保護者の賛同は得られないものと思います。このことについて、教育長の考えをお聞かせ下さい。
→学習用アプリもTeamsもアクセスを認めていない。CYODを実施しても、アプリはクラウド上での稼働のため、端末のスペック差による影響はそれほど大きくないと考えるが、指摘の通り家庭の状況や考え方があり、家庭の経済的な負担になるため、実施する予定はない。
- 機能要件とOS
令和2年度のタブレット端末の多くは買い入れているものであり、NEXT GIGA端末が展開された後も区の持ち物であり、最大限の活用が求められます。その活用策の一つが、先ほど申し上げた、自宅学習用端末として希望者に貸し出すことだと私は考えていますが、現行のタブレット端末について、リプレイス後の活用を区教委はどのように考えているか、見解を伺います。自宅学習用端末として貸し出した場合、学習用のシステムにアクセスさせるためにOSのアップデートやアプリケーションの出し入れが発生していきますが、これらを都度学校に持ち込ませることなく、インターネット越しに対応することが技術的に可能になっています。現行のタブレット端末に対するMDM、Mobile Device Managementのシステムは整備されているのか、確認します。
→故障や持参忘れの際の予備機として活用し、OSサポート終了後は再資源化。MDMは紛失時のロックやデータ削除などを導入、運用している。
令和2年度にDynabook K50を導入した際の選定理由として、Windows、LTE対応、デタッチャブルが挙げられていました。これらの要件を満たし、かつ補助金額内で買い入れできたのがK50でした。私もかつてITメーカーの営業職にありましたが、買い手側の要件を自社製品の優位性に誘導し、要件を満たす製品が自社製品しかない、という選定結果になるよう、自社製品の持つ優位性が重要であることの顧客理解を得ること等に傾注していました。このことを業界用語で「仕様を固める」という言い方をしていましたが、まさに前回の買い入れはDynabook社に固められた印象を持っています。そこで、区が設定した要件の妥当性について、以下検証してまいります。
まず、Windowsについて。教員がWindowsを使い慣れていることが理由に挙げられていましたが、県費負担教員は都内自治体を異動していきますので、Windowsを使っている自治体が少なければ、次第に不慣れな教員が増えていく構造になっています。令和2年度から令和6年度の現時点まで、杉並区立学校に在籍し続けている県費負担教員は何名で、それが教員全体の何パーセントにあたるのか、確認します。
→795名、46%。
議会事務局に骨を折っていただいて、都内62区市町村を対象に、区市町村立学校におけるタブレット端末の導入・選定状況について調査を実施しました。その結果、
Windowsの端末を導入した自治体は62自治体中19自治体、端末数の割合を見ると約15%にとどまっています。Chromeの端末が30自治体、約49%。iOS端末は17自治体の利用ですが端末の割合では約33%となっていました。このことから、異動してきた教員にとって、杉並区のICT教育への対応に苦労する要因としてWindowsがあるのではないかと懸念しています。この指摘に関する区教委の見解を伺い、異動教員に関するICT関連の研修にはどのくらいの時間を要しているか、他自治体での先進的な取組を杉並区でも行いたいが行えないといった意見が出ていないか、その他異動教員から区のICT教育についてどういった意見要望があるか、お示しください。
→OSが変わったことに伴う操作方法の質問や端末の起動時間の差に関する意見はあるが、基本的に機能は同じなのですぐ慣れている。他自治体で使用していたアプリを使用したいという要望はある。移動教員に関する研修は1回あたり約2時間のICT課長研修を年10回、その他訪問型要請研修や学校独自の校内研修、ICT支援員による操作研修も行っている。
大阪市は市内を4つのブロックに分けて端末調達を実施した自治体で、大阪市会の当時の教育こども委員会委員長坂井はじめ議員が、4種類の端末について同一の操作における起動時間を昨年12月にスタッフと手動で測定調査を行いました。4種類のうち1つがChrome、3つがWindowsの端末でしたが、電源オフから学習eポータルのTOP画面の表示まで、Chrome端末が約38秒に対し、Windows端末は約89秒から205秒、電源オフからカメラ起動まではChrome端末が約29秒に対しWindowsは約80秒から122秒という結果でした。端末本体やアプリケーションの起動は、一日に何度も行う作業であり、限られた授業時間の中で起動に奪われる時間が短いことの重要性は論を俟たないものと思います。端末の起動が遅いという児童生徒、教職員、保護者からの意見要望が出ていないか確認し、その上で今年度展開する予定のK70の起動時間について、区教委の見解を伺います。
→OSアップデートやストレージにデータが蓄積されたことで導入当初より起動が遅くなっており、保護者や教職員から起動時間に関する意見要望が届いている。K70は基準よりもメモリやストレージの容量を増やしており、起動時間が短くなるものと見込んでいる。
LTE対応が可能であることを要件に設定したことは重要であると考えています。区ではこの間、家庭にネットワーク環境が整備されていない等の事情がある児童生徒に、ポケットWi-Fiを貸し出す運用を行ってきました。
6月20日のDX・議会改革特別委員会でも話題にしましたが、目黒区、豊島区、練馬区などでは、児童生徒の端末は学校の無線LANに接続することなく、全ての端末にUSIMカードを差し込んでインターネット経由で学習を行い、学校の無線LANは平時の教員用端末や校務系のネットワーク利用、また災害時の一般開放用として整備しています。無線LAN環境は数多くの端末が同時に接続する状況に弱く、学校のネットワーク環境はGIGAスクール構想以降非常に厳しい状況に置かれ、段階的に改善のための投資を行ってきました。GIGAスクール構想が発表された令和元年以降、杉並区立学校の無線LAN等インターネット環境に投じてきた総額と、そのうち一般財源から支出した金額をお示しください。動画教材のさらなる活用や、近い将来には生成AIを駆使した教育が行われる可能性を見据えた時に、区立学校の無線LAN環境から児童生徒端末を切り離す決断が求められているのではないでしょうか。児童生徒端末を全面的にUSIM化した場合に、追加でかかる費用の年額について、概算をお示しいただければと思います。
→総額総額19億円余、一般財源からの支出は17億9千万円余。全ての児童生徒をUSIMの対象とした場合、年額2億3千万円余。
デタッチャブルについては、学校側から一定の評価を得ていることは認識しており、今年1月にDX・議会改革特別委員会で天沼小学校を視察した際も、体育の授業の際にキーボードを外して動画を撮影している場面がありました。デタッチャブル方式の課題としては、モニターとキーボードを接続する端子の故障が多いことがあります。K50導入以降、接続部分が起因となった故障が何件あり、それは故障全体の何%になるのか確認します。デタッチャブル端末としてiPadを展開している自治体が多数あり、その多くが先に述べた調査項目にある、端末の振り返りの中で、iPadを評価する理由として故障率が低いことを挙げています。iPadの故障率は概ね2%台のようですが、K50の故障率についても確認しておきます。
→令和5年度に発生した故障は4,298件、故障率14.7%。接続部分の故障は246件(5.7%)。
NEXTGIGA端末の調達方針について、調査に対し荒川区がWindowsからChromeに変更、中央区がWindowsに加えてiOSを導入、狛江市と東大和市はWindowsとiOSの併用からiOSに一本化、新宿区・文京区・東久留米市など2区2市1村がWindowsを利用しているが今後については検討中と回答しています。区として令和7年度に調達する端末のOS変更を検討すべきではないか、見解を求め、次の項に移ります。
→Windows OSの搭載機種を予定しているが、今後については学校関係者、児童生徒、保護者などの意見も参考にしていく。
- 公道移管について
公道移管とは、私道を自治体に寄附し、公道として自治体で管理する道路に変更することを指します。区のホームページには「私道を区道または区有通路にするには」というタイトルで説明が掲載されており、8つの条件が示されています。その3点目には、公道と公道に接続していること、という条件があり、通り抜けができない袋地状の私道などは対象にならず、通り抜けができる私道について、所有者全員の同意が得られれば可能となるのが公道移管となります。令和元年度以降の公道移管の実績について確認します。
区は自転車駐車場等の整備が進んでいる駅周辺を放置禁止区域に指定していますが、駅周辺の通り抜けが可能な私道の大半で、私道所有者の持ち物ではない自転車が駐輪されていても、撤去することができないことになっています。私道を放置禁止区域にしている事例はどの程度あるか、伺います。
→区道・区有通路合わせ、5件約665メートル。放置禁止区域の指定は148ヶ所。
私有地・私道の放置自転車については、警察を呼んで盗難車か否かを確認した後、所有者・管理者自ら警告札を貼る対応を行い、その後廃棄物処理法に基づいて処理する、という大変負担のかかるプロセスが所有者・管理者に求められており、仮にそれを実行したとしても、即時撤去する権限は所有者・管理者にはありません。その結果、区立自転車駐車場と同じくらいの距離にある私道には特定の自転車が平日日中に常態的に放置されており、放置されている自転車が倒れるなどして私道をふさぐこともありますし、
自転車駐車場に利用料金を払っている区民にとってみれば、正直者が馬鹿を見ている状況といわざるを得ません。私道の所有者・管理者の立場としては、私道上に無許可で放置されている自転車を即時撤去しようと思うと、放置禁止区域上の公道に排出するくらいしか自衛の手段がないと思いますが、この対応についても行ってはならないと区は指導しており、ホームページにも不法投棄とみなされ、法律で罰される可能性があると記載されています。実際に処罰された事例があるのか、伺います。放置禁止区域の指定のない私道における放置自転車への対応として、区にできることを明らかにしていただき、私道所有者や通行に支障を来たしている場合の通行者に求めている対応について、説明を求めます。
→処罰された実例はない。私道は所有者が維持管理する原則なので、国できることは限定的。放置禁止区域への指定事務の流れの案内や警告札を掲示するなどの助言をしている。
このような極めて不条理な状況に対して、私道所有者に認められている自衛策の一つが放置禁止区域の指定ですが、この事務手続きには私道所有者の同意・承諾が必要となっています。相続などによって所有者間の面識がない、また相続人が遠方に居住しているなど、地域住民による合意形成には相当な困難が伴うのが実情です。また駅前地域に顕著な状況として、私道の一部の所有者が分譲マンションの持分所有者であり、管理組合として合意形成する必要があること、私道である前面道路の所有者が法人であり、放置自転車が存在することやその弊害についての認識がないなど、さらに困難な状況があります。外国籍企業による投資案件などが入り込んだ場合などを想定すれば、放置禁止区域の指定に路線中の該当私道所有者全員による合意形成を必須とまでするのは酷ではないでしょうか。
このように、都市部における住民間の合意形成が複雑化し、難易度が上昇している状況があります。行政課題の高度化・複雑化ということが、職員の待遇改善などの場面で区からよく示されていますが、高度化・複雑化した課題は庁舎内でのみ発生しているわけではなく、杉並のまちの中にも多数発生しているとみるべきです。このような状況を踏まえ、区として住民間の合意形成の支援に踏み出すべきと思います。見解を伺います。
→区として積極的な働きかけをすることは考えていない。
もう一つの方法が、公道移管となりますが、私道が接続する両面の公道が放置禁止区域の場合、公道移管後は自動的に放置禁止区域指定となるのか、見解を伺います。公道移管を選択した場合に、私道寄附の合意を形成するハードルはさらに高いものになります。ですが、私道を廃止し、私道部分を宅地化するなど財産として活用することができるのは、位置指定道路に指定されていないことや、通行権の設定がされていないことなどの場合に限られるため、私道部分を財産として活用できるのは、エリアを一体的に開発する場面などで持ち分算定に若干有利な可能性があるなど、相当に限定的な状況であり、私道所有者が私道を所有するメリットは、イメージとは異なりほとんどないものと私は考えています。固定資産税等は減免されるため、平時に私道を所有することのデメリットはないのですが、街渠等にトラブルが発生した場合には私費で改修を行うことになるため、私道所有はリスクを伴うものと私は考えます。私道を所有し続けることのメリットとデメリットについて、区の見解を伺います。放置自転車対応に限らず、私道の管理に苦慮している区民に対し、公道移管という方法があることの周知を強化することを早急に始めていただければと思いますが、このことについて区長の見解を伺います。私道所有のリスクの一つである、道路舗装や側溝の工事費負担に関して、区は助成を実施していますが、この助成制度の活用状況について、令和元年度以降の件数と決算額を確認します。
→自動的には放置禁止区域に指定されず、区が放置禁止区域の指定の必要性を判断した場合に指定する。私道所有のメリットは不動産として所有すること、所有権に基づき収益処分ができること、デメリットは費用面も含め自己責任において維持管理をしなければならないこと。私道舗装整備助成は令和元年度以降105件6億83百万円。
ここまで見てきたように、私道所有者にとって私道所有はリスク優位である状況があり、区としては私道所有者が一定の負担を行うことによって財政負担を和らげているのかと思えば、助成制度などを通じて負担の一部を受け入れている状況があります。これらの状況を俯瞰して見た時に、私道の寄附という困難な合意形成を経ることなく、区として道路管理を担う余地があるのではないかと考えています。周辺の公道との環境調和を図る、下水道管やマンホール等のトラブルに迅速に対応するなどの観点で、私道の管理の一部を区が担うことについて、前向きな検討を行うことを求めますが、このことについて区の見解を伺います。
この検討を行うこととした場合に、では私道の総延長が何キロメートルあり、一定の条件に当てはまる私道は何キロメートルあるのか、といった情報が定量的に把握できている必要があるものと思います。建築基準法上の道路に指定されている私道について、何キロメートルあると把握しているか、確認します。建築線の設定がない私道については、区として網羅的に現地調査による把握を行うことは難しいと思われます。こういった私道については、公開型GISであるすぎナビの情報を活用し、画像解析と生成AIの組合せ等、新たな技術を用いることによって把握してはと思いますが、その実現可能性に関する区の見解を伺います。
→私道の管理の一部を区が担うことは考えていない。建築基準法上の道路に指定されている私道は263km、新たな技術の活用による現状把握は行う予定はない。
この項の最後に、私道における路上喫煙ならびに歩行喫煙の禁止について。LINEを通じ4,000名の区民に、公園内の喫煙、歩行喫煙の禁止、路上喫煙についてアンケートを行いました。公園内の喫煙については、「路上もいやですが、公園は特に子供が遊ぶ場所なので、喫煙反対です」「近所の公園の植え込みにもタバコの吸殻が捨てられています。小さいお子さんが拾って口に入れてしまう可能性を考えられない大人がいることも残念ですが、子供の利用機会が多い場で喫煙が可能である現状は変えた方が良い」などの厳しい意見が多数寄せられていました。区としてもこういった状況を把握し、7月から新しい公園利用ルールが試行されていますが、公園内の禁煙やその他試行しているルールについて、現時点でどのような意見が寄せられているか、アンケート回答状況なども踏まえお示しください。
→8月末時点で約170件の回答があり、禁煙、花火、ボール遊び、自転車の練習は約7割の方から概ね評価する意見。犬の連れ込みは約半数が評価。
歩行喫煙については「歩きタバコは本当に迷惑なので禁止ということをもっと大きく伝えてほしいです。やったら処罰されるようになってほしい。子供と歩いてる時危険です。 匂いが苦手です」や「高円寺に住んでますが、歩きタバコが全く取り締まられていません。不愉快な思いをすることが多いです」など、こちらも厳しい意見が多数寄せられており、厳罰化や徹底した取り締まりを求める声が複数届いています。歩行喫煙に関しては、マナーを守って喫煙している喫煙者の肩身を狭くする行為であり、先の予算特別委員会でも確認した通り、電子タバコを含め他者危害性を持つ危険な行為であります。それゆえ当然に、先に紹介したような厳しい非難が多数寄せられているわけでありますが、指導員による対面の指導以外にも、放送設備を用いた注意・警告や、デジタル技術を用いてそれをより個別具体的に行うなど、新たな技術を用い、歩行喫煙に関する指導を強化すべきではないでしょうか。見解を伺います。
→放送設備を活用した啓発は阿佐ヶ谷七夕まつりや高円寺阿波踊りなどで行ってきており、今後も様々な機会を捉え啓発していく。喫煙を自動で認識するAIカメラなどが開発されていることは区も認識しているが、導入にはプライバシーの配慮等様々な課題もあることから、当面対面指導の強化・充実を図りつつ研究を進める。
路上喫煙については、まず禁止区域外では条例上の問題はない行為だということが知られていません。喫煙ルールの周知の際に、適切に対応することを求めておきます。先ほど来申し述べてきた通り、路上喫煙禁止区域の中に喫煙可能な区域が存在すれば、そこが公衆喫煙場所のように使われてしまうのは自明でありますから、エリアの一体的なマネジメントを重視する観点から、路上喫煙禁止区域については申請主義を乗り越え、区から積極的に路上喫煙禁止区域の指定を所有者・地権者に働きかけることが重要だと考えますが、区の見解を求め、次の項に移ります。
→指摘のような積極的な働きかけよりも、啓発や私道、区または事業者による完全分煙型公衆喫煙場所の設置等、受動喫煙がなく、喫煙者・非喫煙者双方にとって暮らしやすい生活環境の確保に注力することが重要。
- 学校給食費について
第一回定例会の代表質問で取り上げた区政の諸課題のうち、学校徴収金の公会計化の関連で、改めて伺います。当初令和8年度の試行実施としていた学校徴収金の公会計化について、区政経営改革推進計画(第二次)において令和7年度検討・試行実施と前倒しされました。そのことについて評価するものですが、その後の検討状況を確認します。
→多種多様な学校徴収金の公会計化の適否の判断や公会計化に向けた課題解決には相当の時間を要し、「徴収管理システム」の導入にあたっては学齢簿システムなど連携が欠かせないシステムの再構築等が予定されているため効率的でないなど課題が明らかになった。しかし学校徴収金の透明性の向上は喫緊の課題であることから、すべての学校徴収金を一斉に公会計化するのではなく、公会計化が可能と判断した徴収金から順次実施する。
学校徴収金も多岐にわたるわけですが、学校給食費については既に無償化を実施しているため、保護者からの徴収がなく、教職員等からの徴収のみであることなどから、学齢簿システムと連携しない公会計化によって、コンプライアンス上の課題を早急に解消できることを指摘したものです。学校給食費の公会計化の開始時期について、最新の状況を確認します。
→徴収管理の対象が教職員等に限られ、徴収管理システムの導入が必須でないことから、計画を前倒しし令和7年度から先行実施する。
渋谷区では学校給食費を無償化すると同時に、給食費単価を135%に増やし、こどもたちの記憶に残る給食、日本一美味しい渋谷区の学校給食を目指す取組を令和6年度当初から開始しています。スーパーなどの店頭から米がなくなるなど、食品の供給が不安定で価格も高騰している状況ですが、給食費を公費負担としたことによって、こういった状況により適切に対応しやすくなった、ということが言えるのではないでしょうか。給食費の単価はこれまでも毎年見直しを行ってきたものですが、公費負担化したことでその意思決定の所在が明確に議会となり、また補正予算で期中に対応することも可能となりました。こういった場面で説明責任を十分に果たすために、公会計化が必要だということになるわけですが、杉並区でも現下の情勢の中、こども達の心身の健全育成に資する、充実した学校給食を提供するために、給食費単価の考え方について抜本的な見直しが必要ではないかと考えますが、このことについても区の検討状況を伺います。
→今年度は一食あたり11円引き上げを行った。給食の質の充実には単価のみならず献立や味付けの工夫が欠かせないことから、学校栄養士が研修や定期的な打ち合わせを通じて検討を重ねている。献立等の工夫に力を入れながら、適正な給食単価を設定していく。
- 区内出身のオリンピック出場選手に関する区の対応について
7月26日から8月11日まで、パリオリンピックが開催されました。金メダル20個も、銀メダル12個、銅メダル13個を含めた合計45個のいずれも、海外で開催された大会では最多となり、期間中の区内の会合では、挨拶の際に深夜のオリンピック観戦による寝不足に触れる方が多くいらっしゃるなど、杉並区内も大いに盛り上がったものと思っています。
そういった中、2大会連続で銅メダルを獲得されたバドミントン混合ダブルスのワタガシペア、とりわけ桃井第一小学校出身の渡辺勇大選手を応援する機運の高まりがあり、上荻本町通り商店会では渡辺選手と東野有紗選手を応援するフラッグを掲げるなど、まさにシビックプライドの発露として、地域が一体となって応援していたところです。
オリンピック選手を輩出している自治体の多くで、役所の外壁に懸垂幕を掛けたり、管理している歩道橋に横断幕を掛けるなど、自治体主導で機運の醸成を図っていましたが、杉並区ではそのような対応を行っておりませんでした。区としてオリンピックの機運醸成について取り組んだ内容について確認し、他区のように区有施設を活用したPRを行わなかった理由について、区の見解を伺います。渡辺選手の関係者が、区としてワタガシペアやその他のオリンピック選手の応援に力を尽くすように求めたと聞いていますが、区の誰が対応し、どのような意思形成過程を通じて、今回の対応に至る判断をしたのか、確認します。
→渡辺選手、7人制ラグビーの平野選手、レスリングの石黒選手を応援するメッセージを、区公式XとHPに掲載し、試合予定日や試合結果を随時掲載した。また区バドミントン連盟からの依頼と協力申し出により、渡辺選手のオンライン応援会を開催。スポーツ振興課で検討、実施を決定。次期オリンピック開催前には、今回の意見も参考にし、垂れ幕も含め様々な手法で選手の応援や機運の情勢を考えていく。
そして、オリンピック終了後に、本庁舎の外側ではなく内側、東棟の2階吹き抜け部に横断幕が設置されました。設置した時期、設置場所を選定した理由について確認します。渡辺選手の銅メダルはダブルスで獲得したものであり、東野選手も同時に称えられるべきところ、横断幕の記載は渡辺選手のみで東野選手については記載されていませんでした。このことについて説明を求めるものです。
→銅メダル獲得直後から制作を開始し、8月6日閉庁後に設置。東京2020オリンピック時と同じ場所に設置。横断幕はスペースが限られていること、見やすさを重視したことから、渡辺選手のみとした。
ワタガシペアは8月20日から25日に開催されたジャパンオープンで解散し、渡辺選手は現在行われている全日本社会人選手権から、田口真彩選手とペアを組んで試合に臨んでいます。渡辺選手の今度ますますのご発展と、それを地域で応援する輪の中に杉並区役所も入っていただけることを期待し、質問を終わります。